世界の橋 その5 [その他の国]
シリーズの最後は、また欧州に戻ります。
今回はドイツの都市ハンブルクを訪ねます。
街には運河が張り巡らされ、その分、橋の数も多いことで知られています。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2017年3月17日に放送)(▸をクリックしても映像が出てこない場合はウィンドウの下の文字をクリック)
ご覧のように街は橋だらけ。橋を渡らずしてハンブルクの街を散策することは不可能。
全部を合わせるとその数は2,500本を超えるそうです。
橋を案内してくれるのがこの方、歴史の専門家ヤンさんです。
「その時代時代で、橋は街を形作ってくれました。新しくできた界隈に橋をかけることで商業が生まれ、人や物の行き来が始まったのです」
街の基礎を作ったとされるのがグスタヴ・アドルフと大司教オスカーでした。二人とも彫像になって橋を見下ろしています。
そして橋は街の歴史をずっと見てきました。この橋も最も古い橋のひとつです。
1842年の大火、第二次世界大戦中の空爆。この二つの事件は街を根底から変えてしまいました。
「周りの建物はすべて破壊されてしまいましたが、橋だけは残りました。ですから、周りの建物は新しいのに、橋だけは古いんです。ですから橋は歴史の証人と言えます」とヤンさん。
石橋、高架橋、鉄橋など、ハンブルクにはあらゆる種類の橋があります。大きさも様々。
ここはユネスコの世界遺産にもなっているシュパイヒャーシュタット地区の倉庫街に架かる橋。
運河の両脇に立ち並ぶ趣のある建物がまたいいですね。ここは小さなボートで見学してみたいところです。
早速、この平で細長いボートで夜の運河を散策してみましょう。
出発してしばらくすると一本の橋の下を通ることになりました。
しかし、川の水位が上がったせいで、このままでは天井が橋の一部にぶつかってしまいそうです。
結局、通るのを諦めなくてはならなくなりました。
「数年前ボートを傷つけたことがあります。前のボートが通って行ったので、次に私も通ろうとした途端、波にやられて橋にぶつかってしまったんです」と船長さん。
違う道を通って散策を続けます。
「美しいですね。街の明かりに運河がロマンチックでうっとりしてしまいます」と男性。
「港やドックも趣があって素敵です」と女性。
しかし、街を形作る橋も年とともに傷んできます。そこで必要なのがメンテナンス。
こちらは外アルスター湖の南端に架かるランバール橋(Lombardsbrücke)です。
19世紀後半に作られた古い橋の上をたくさんの車が走っていきます。
「作られた当時は馬車や馬しか通ってなかったんですが、今ではこの通り大小さまざまな車が通行していきます。ですから、これに耐えられるように補強しなくてはならないんです」と市の担当者。
道路の方はリノベーションが終わっていますが、橋脚はこれからです。
「古い橋の改築や新しい橋の建設で年間1,500〜2,000万ユーロの費用がかかります」
確かに、比較的最近作られた橋のようですが、明らかに劣化しています。
そのすぐ近くでは新しい橋が建設中です。今年の6月頃には完成する予定だとか。
そして、この新しい橋は100年は保つそうです。
「少なくとも100年は保ちますが、私にはそれを見届けることはできないでしょうねえ(笑)」
湖に川に運河、水とともに生きてきた町には見ごたえのある橋がたくさんありそうです。
終わり。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、ドイツで従兄弟と一緒にバスに乗った。あまりお金を使いたくなかったので、従兄弟に、僕が14歳だと運転手に言ってくれと頼んだ。すると運転手が振り向いてフランス語で言った。『残念だね。僕にはそれは通じないよ』」
VDM (Vie de merde)より
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