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フィルミニ [フランスのお宝]

 パスポート用の写真がひどかったことに意気消沈気味ですが、取得にかかる手数料が16,000円(10年用)もするのに驚きました。

 

 10年前はその半額だったような気がするのですが、どういうわけでこんなに高額になってしまったのか・・・。

 

 10年前のパスポートもIC化されていたので、その費用を上乗せしたとも思えません。

 

 さて、本日のタイトルは「フィルミニ」。

 

 何かといえば、フランス中東部にある都市サン=テティエンヌの郊外にある人口17,000人ほどの町の名前です。

 

 最近、この町を訪れる人が急に増えたとか。その理由は・・・。

 

Paris_Firminy.jpg



 下記ウィンドウのをクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局France 3で2017年4月3日に放送)(▸をクリックしても映像が出てこない場合はウィンドウの下の文字をクリック)

映像が途切れ途切れになってしまう皆さん。どうも映像の読み込みと再生の速度がうまく噛み合ないのが問題のようです。解決策として、本編が始まったところで一旦ポーズボタンをクリックし再生を止め、映像を読み込むまでしばらく待ちます。ある程度映像を読み込んだところで、もう一度再生ボタンをクリックすると途切れずに見ることができるようになります。少し手間ですが試していただけると幸いです。



Firminy : le label Unesco

 

 こちらがその町フィルミニ(Firminy)です。

 

 フランスで良く見かける観光地のような雰囲気は全くありません。ちょっと古いコンクリートの建物は公営の低家賃住宅。

 

 住人の5人のうち1人がこの手の住宅で暮らしています。

 

 そんな住宅地に突如としてやってきたのが・・・日本人の団体。

 

 カメラを構えて盛んにシャッターを押しています。何事か?

 

 「建築家コルビュジエの作品を見に来たんですよ」と女性。

 

 コルビュジエと言えば、その主な建築物が去年ユネスコの世界遺産に登録されたばかり。

 

 その中の5つがこのフィルミニにあるのだそうです。これらを総称して「フィルミニのル・コルビュジエ遺産」と呼びます。

 

 この競技場、その向こうに見えているサン=ピエール教会、競技場の手前に立つ文化会館は、すべてル・コルビュジエの作品です。

 

 「この色と形がいいんですよ」と女性。

 

 「世界遺産に登録されているル・コルビュジエの建築物のある17の地域の中でも、ここは重要な場所なんです」と男性。

 

 この世界遺産登録の効果で、町にやってくる観光客が半年で48%増加しました。去年の2倍になりそうな勢いです。

 

 以前のフィルミニはそんな町ではありませんでした。2009年7月に大規模な暴動が起きたことで知られています。

 

 現在の町の青空市場です。

 

 「今はこの町を誇りに思いますか?」と取材班。

 

 「まあそうだね。僕が生まれた50年前よりはね」と男性。

 

 「全く知られていなかった町から世界に知られるような有名な町になりました」と若い女性。

 

 観光地に変身したことのほかに、1100万ユーロの補助金が出ることも大きな変化でした。

 

 町長さん、建築物の維持管理の難しさに熱弁をふるっていました。

 

 さて、ここはサン=ピエール教会です。見学者の皆さんがガイドさんの説明に耳を傾けています。

 

 町では新しいガイドさん3人を採用したそうです。

 

 この教会はコルビュジエの死後に、コルビュジエの設計を基に作られました。完成したのは2006年のことです。

 

 ロンシャンの教会と同じように光が印象的です。

 

 世界遺産と言えば、先日、週末旅で紹介したニームが、来年、候補に挙がっているそうです。

 

 メゾン・カレや円形競技場など長い歴史を持つ建物が建っています。

 

 候補に選ばれるまで修復作業や周知活動などで15年かかったそうです。

 

 

 

******** フランス人のつぶやき *******

 

 

「今日、父と妹と一緒に星の写真を撮ろうと、寒い中、一時間も外でがんばっていた。そして気がついた。カメラのレンズカバーを取り外すのを忘れていたことを・・・」

 

 

VDM (Vie de merde)より




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最速パリーストラスブール [フランスのお宝]

 有料駐車場の問題でガタガタしていたグランヴィルですが、7月4日、無事にツール・ド・フランスの選手たちがスタートして行ったようです。

 

 その映像に興味にある方は→こちら

 

 グランヴィルは第3ステージの出発点になっていました。ここから選手たちはアンジェを目指して走ります。

 

 それにしてもサポート用の車両の数がすごいですね。屋根に乗っている自転車はスペア用でしょうか?

 

 最後は警察車両と救急医療の車両が走って行きました。

 

 さて、フランスの高速列車と言えばTGV。

 

 この度、パリ - ストラスブール間で最速のTGVが開通したそうです。


Paris_Strasbourg.jpg



 下記ウィンドウのをクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2016年7月3日に放送)

映像が途切れ途切れになってしまう皆さん。どうも映像の読み込みと再生の速度がうまく噛み合ないのが問題のようです。解決策として、本編が始まったところで一旦ポーズボタンをクリックし再生を止め、映像を読み込むまでしばらく待ちます。ある程度映像を読み込んだところで、もう一度再生ボタンをクリックすると途切れずに見ることができるようになります。少し手間ですが試していただけると幸いです。



 7月3日の朝、最速のTGVがパリを出発していきました。記念の一番列車です。

 

 デッキに取り付けられた液晶画面には時速260キロの文字が・・・。

 

 このTGVの開通によりパリ - ストラスブール間は1時間46分に短縮されます。

 

 因みに2007年当時は2時間20分、そしてそれ以前は4時間もかかっていました。

 

 私も今から7〜8年前になってしまいますが、この線のTGVに乗ったことがあります。

 

 その時、ただいま世界最速で走ってます、というようなアナウンスがありました。

 

 恐らく220キロとか230キロとかそんなもんだったと思います。

 

 しかし、外は真っ暗でどんなスピードなのかさっぱり・・・。残念なことをしました。

 

 「この40年でどんどん縮まりました。在来線の頃は5時間15分かかってましたからね。今は最速で乗り心地も良いです」と男性客。

 

 「僕は三日間だけのフランス旅行なので時間を無駄にできませんからありがたいです」と別の男性客。

 

 こうしてめでたく最速TGVが開通の運びとなったわけですが、本来なら3ヶ月前に開通する予定でした。

 

 昨年の11月14日、試験走行中に脱線事故を起こしたことが遅れにつながりました。

 

 あのパリの連続テロ事件の翌日のことで大きなニュースにはなったものの、テロ事件でかき消されてしまったのでした。

 

 フランス国鉄は、この日のTGV開通により2020年までに70万人の利用客増加を期待してるそうです。

 

 「フランス東部は地の果てみたいなイメージがあって、遠いから行かない、なんて言えたのですが、こうなるとそうはいかないですね」と女性客。

 

 さあ、いよいよストラスブールに到着です。外の気温は21度。

 

 「30分短くなって、便利になりました。何しろうちは子供が三人もいますからありがたいです」と別の女性客。

 

 ストラスブールでは記念のイベントを開催しているようです。

 

 高速列車TGVで結ぶと、フランスの地図もこんな風になります。




******** フランス人のつぶやき *******

 

 

「今日、TGVに乗った。車両はガラガラ。ちょっと窮屈だったスニーカーを脱いでうとうと眠ってしまった。到着10分前のアナウンスで目を覚まし、靴を履こうとしたら片方しか見つからず、そこには次のようなメモが残されていた。『もう片方は12号車から18号車の間にある。幸運を祈る』」

 

VDM (Vie de merde)より




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愛のキューピッド像 [フランスのお宝]

 数々の名作を所蔵するパリのルーブル美術館。

 

 所蔵作品の展示や維持だけでなく、新しい作品の購入もまたその活動の一つです。

 

 その費用を調達するためにルーブル美術館はこんなことをしていました。

Paris_Paris.jpg


 

 下記ウィンドウのをクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2016年1月13日に放送)

映像が途切れ途切れになってしまう皆さん。どうも映像の読み込みと再生の速度がうまく噛み合ないのが問題のようです。解決策として、本編が始まったところで一旦ポーズボタンをクリックし再生を止め、映像を読み込むまでしばらく待ちます。ある程度映像を読み込んだところで、もう一度再生ボタンをクリックすると途切れずに見ることができるようになります。少し手間ですが試していただけると幸いです。



 

 昨年の10月のこと。小ぶりの彫刻が小さなクレーンに吊るされ運ばれてきました。慎重に所定の場所に設置されます。

 

 このキューピッドの大理石像、100年以上も前から個人のコレクションの中で眠っていました。

 

 制作されたのは1753年。

 

 作者はジャック・サリー(Jacques Saly)、タイトルは“一本の矢を放とうとするキューピッド”。

 

 制作を依頼したのはポンパドゥール侯爵夫人でした。

 

 1753年8月11日、夫人はこの作品を一般公開する前に、先にフランス国王ルイ15世にだけ見せたそうです。

 

 その時、キューピッドの矢が国王のハートを射抜いたとか。

 

 そんな逸話を持つ作品はルーブルを訪れたカップルに大人気となります。

 

 「バレンタインデーにパリに来ることにしたんです。妻へのプレゼントです」と男性。

 

 SNSは、キューピッドと一緒に記念撮影したカップルの写真でいっぱい。

 

 この魅力的な作品を収蔵品の一つに加えたいと思ったルーブル美術館。

 

 その資金調達のためにプロモーションをスタートさせます。

 

 その名も「愛の募金にご協力を!」

 

 フランス語や英語に混じって日本語でも呼びかけています。

 

 キューピッドの像に熱い視線を投げかける若いカップル。どうやらこの作品を気に入ったようです。

 

 「ルーブル美術館に収蔵されるよう、私も何かできるかもしれないと思ったんです」と男性。

 

 募金はインターネットでできます。金額も20ユーロ(約2500円)からとお手軽です。

 

 おかげで募金してくれた人の数は4,000人を超えました。

 

 目標額は600,000ユーロ(約7,500万円)ですが、サイトを見ると110%と書いてあるので、達成して余りある結果になったようです。

 

 そのサイト(日本語)は→こちら

 



******** フランス人のつぶやき *******

 

 

「今日、ボクは彼女いない歴10年。それなのに間違いで、携帯に知らない人から別れのメールが届いた。キューピッドにも見放されたボク [もうやだ~(悲しい顔)]

 

VDM (Vie de merde)より




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旅する絵画 [フランスのお宝]

 フランスを訪れる日本人観光客の数は、前年度に比べて19%減だそうです。

 

 ある日本の旅行会社によると2014年にクリスマスをフランスで過ごした観光客が160人いたのに対し、2015年は100人程度だったそうです。

 

 明らかに11月の連続多発テロ事件の影響ですね。あのテロ事件の惨状はかなりショッキングでした。

 

 一方、フランスから海外へ旅する絵画は年々増加の一途をたどっているとか。


France_peinture.jpg

 

 下記ウィンドウのをクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局France 2で2016年1月24日に放送)(をクリックして映像が出て来ない場合はウィンドウの下の文字をクリック)

映像が途切れ途切れになってしまう皆さん。どうも映像の読み込みと再生の速度がうまく噛み合ないのが問題のようです。解決策として、本編が始まったところで一旦ポーズボタンをクリックし再生を止め、映像を読み込むまでしばらく待ちます。ある程度映像を読み込んだところで、もう一度再生ボタンをクリックすると途切れずに見ることができるようになります。少し手間ですが試していただけると幸いです。



Musées français : l'export pour mirux rénover

 ルーブル美術館、オルセー美術館、マルモッタン美術館などに収蔵されている名作は、これまでになく海外へ出て行く頻度が多くなったそうです。

 

 例えばクロード・モネの「日の出」は東京へ、ブランリー美術館の「Tatoueurs tatoués(入墨した入墨師)」はシカゴへ、ゴーギャンの名作はリオへ、そしてルノワールは東京へ、といった具合です。

 

 「中国人の多くがフランスに来るような機会はありませんが、もし絵画が中国にやってくるようだったら沢山の人が見に来ると思いますよ」と中国人女性。

 

 「モナリザが各国を回ってくれるんだったらありがたいことです。特にアメリカ人は大喜びしますよ」とアメリカ人男性。

 

 モナリザは1963年にアメリカに渡ったことがあります。

 

 モナリザがフランスを出たのはこの時が初めてでした。

 

 当時、アメリカでは大統領夫妻が、フランス国家の流れる中、歓迎したそうです。

 

 この次にモナリザが旅したのは東京でした。1974年のことでした。

 

 私も会場の国立西洋美術館に見にいきました。ものすごい人で鑑賞するどころの騒ぎではなく、文字通り“見た!”という感じでした。

 

 この“旅する絵画”たちが、今では美術館の大きな収入源になっているそうです。

 

 維持費の確保が難してくなっている昨今、収蔵品を海外に出すことでその分をカバーしているのだとか。

 

 オルセー美術館に展示されているこれらルノワールの作品も間もなく東京に向けて送られるそうです(「ルノワール展」2016年4月27日〜8月22日 国立新美術館)。

 

 このような絵画の貸し出しにより、これまで1,100万ユーロが美術館の収入になっています。

 

 サウジアラビアのアブダビにはルーブル美術館の分館ができ、ルーブル美術館所蔵の作品300点余りが展示されることになっています。

 

 その中にはレオナルド・ダヴィンチやゴッホの作品も含まれています。

 

 これにより美術館に入ってくるお金は4億ユーロにもなるとか。

 

 経済の低迷するフランスにおいて、こちらは不況知らずですね。




******** フランス人のつぶやき *******

 

 

「今日、両親と一緒に美術館に行った。入場料を払いたくない両親は、18歳の私を11歳と偽って入ろうとした。それで通ると思うのは親だけなり」

 

VDM (Vie de merde)より




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カリヨン [フランスのお宝]

 クリスマスと言えば、サンタクロース、プレゼント、ご馳走、なんてすぐに想像してしまいますが、本当はキリストの誕生をお祝いする日なんですよねえ〜。

 

 信者の皆さんにとっては教会に集まってお祈りを捧げる日です。 

 

 フランス南西部の小さな村サン=ヴァンサン=ドゥ=ポール(Saint-Vencent-de-Paul)にあるビュグローズのノートル=ダム大聖堂では、カリヨンがクリスマスの音楽を奏でています。

Paris_StVincentdeP.jpg


 

 下記ウィンドウのをクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局France 3で2015年12月20日に放送)(映像が出てこない場合は、ウィンドウの下の文字をクリック) 

映像が途切れ途切れになってしまう皆さん。どうも映像の読み込みと再生の速度がうまく噛み合ないのが問題のようです。解決策として、本編が始まったところで一旦ポーズボタンをクリックし再生を止め、映像を読み込むまでしばらく待ちます。ある程度映像を読み込んだところで、もう一度再生ボタンをクリックすると途切れずに見ることができるようになります。少し手間ですが試していただけると幸いです。



Le carillon de Buglose

 

 聞こえてきたのは大聖堂のカリヨンの音。

 

 大聖堂の3階に上がってみると・・・カリヨン奏者のドゥニ=ピエールさんが演奏していました。

 

 カリヨンって、鍵盤で演奏するんですね。

 

 なにやら複雑そうで大掛かりな仕掛けがあるようです。

 

 「1895年、教会参事会員で数学の先生だったジャン・メゾンナヴが、カリヨンを欲しがっていた司教のために作りました。当時としては革新的な作りになっていました。このようなカリヨンは世界に4台あったのですが、残っているのは唯一ここだけです」とドゥニ=ピエールさん。

 

 鐘楼に設置された鐘を見ると複雑な仕掛けがわかってきます。

 

 「全部で60個の鐘が設置されています。このワイヤーで引っ張ると音が鳴るようになっています」

 

 このシステムで500個以上の音が出せるそうです。これはちょっとすごいですね。

 

 ドゥニ=ピエールさんがカリヨン奏者になったのは1980年代の頃。

 

 以来、ここでカリヨンを演奏し続けています。

 

 カリヨンを設置したことで人が集まり出し、巡礼者も多く訪れるようになったそうです。

 

 また最近では観光スポットの一つにもなっています。

 

 ワイヤーと鍵盤をつなぐだけの単純な楽器に思えますが、実際はかなり複雑で繊細にできています。

 

 それが120年もたった今でもちゃんと動いて演奏できているというのは見事です。

 

 大切に手入れされてきたのかも知れません。

 

 ドゥニ=ピエールさんの演奏する「ジングルベル」が、教会はもとより村中に響き渡っていました。

 


******** フランス人のつぶやき *******

 

 

「今日、私は結婚した。教会を出るとライスシャワーが待っていた。と、ここまでは普通。お腹を空かせた鳥の一群がお米めがけてこちらに向かって来たことを除けば・・・

 

VDM (Vie de merde)より




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校舎 その5 [フランスのお宝]

 シリーズの最後は、アルザス地方の都市ストラスブールにあるサン=トマ小学校(école Saint-Thomas)を訪ねます。

 

 これまでとは一味違うネオルネッサンス建築の校舎です。


Paris_Strasbourg.jpg



 下記ウィンドウのをクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2015年4月17日に放送)(をクリックして映像が出て来ない場合はウィンドウの下の文字をクリック)

映像が途切れ途切れになってしまう皆さん。どうも映像の読み込みと再生の速度がうまく噛み合ないのが問題のようです。解決策として、本編が始まったところで一旦ポーズボタンをクリックし再生を止め、映像を読み込むまでしばらく待ちます。ある程度映像を読み込んだところで、もう一度再生ボタンをクリックすると途切れずに見ることができるようになります。少し手間ですが試していただけると幸いです。



 サン=マルタン橋のかかるイル川。

 

 その川沿いに立つ煉瓦色の堂々たる建築物が本日訪ねる小学校の校舎です。1905年に建てられました。

 

 中の作りもこれまでの建物とは異なります。こうして窓から外を覗いていると、イル川を客船に乗って走っているような気分になります。

 

 かつて川向こうの正面にはチョコレート製造所があったそうです。

 

 門をくぐると正面玄関のファサードが見えてきます。リズミカルな窓が印象的。

 

 階段を上がると音楽室があります。天井画の天使も子供達と一緒に歌っているようです。

 

 「初めてこの建物をみたときは教会かと思いました」と女生徒。

 

 「この学校に入れてよかったなと思います。ステンドグラスがある学校なんてそんなにないです。校舎がきれいだし、彫像もたくさんあります」と別の女生徒。

 

 アルザス地方は1870年から1918年までドイツ領だったこともあり、設計はドイツ人建築家の手によって行われました。

 

 広くて長い廊下もこの校舎の特徴です。

 

 「ここはたくさんの生徒たちが行き来しますから、これだけ大きい廊下になっているんです。当時は幼稚園が2クラスあり120人の子供達が登園していたそうです」と先生。

 

 ということは、ひとクラス60人!すごい人数ですね。

 

 廊下の柱には昔の子供達を描いた装飾がありました。

 

 この建物が作られた当時、フランスはアールヌーヴォーの時代でした。一方、ドイツは図案化されたデザインが主流だったそうです。

 

 校舎の中には体育館も設置されています。

 

 「体育の授業の他に催し物にも使われます」

 

 四角い鉄骨の体育館とはずいぶん趣が異なります。

 

 丸みを帯びたドアノブや階段の手すりが時間の経過を物語ります。

 

 屋外に出てみると、昔の宮殿の一部を再利用した場所があります。

 

 この美しい階段を上がったところには管理人のすまいがあるそうです。

 

 川沿いに作られたこの建物、学校というよりお城や宮殿のようにしか見えませんね。




******** フランス人のつぶやき *******

 

 

「今日、学校が終わって、隣の家の子供が出てきて私に言った。『ママがトランポリンを買って庭に置くつもりだって。そうすればおばさんちがよく見えるって言ってた』『・・・』」

 

VDM (Vie de merde)より




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校舎 その4 [フランスのお宝]

 シリーズの四回目は、フランス西部のラヴァル(Laval)にあるリセ・アンブロワズ=パレ(Lycée Ambroise-Paré)(日本風に言えばアンブロワズ=パレ高校)を訪ねます。 

Paris_Laval.jpg

 

 

 下記ウィンドウのをクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2015年4月16日に放送)(▸をクリックしても該当の映像が出てこない場合はウィンドウの下の文字をクリック

映像が途切れ途切れになってしまう皆さん。どうも映像の読み込みと再生の速度がうまく噛み合ないのが問題のようです。解決策として、本編が始まったところで一旦ポーズボタンをクリックし再生を止め、映像を読み込むまでしばらく待ちます。ある程度映像を読み込んだところで、もう一度再生ボタンをクリックすると途切れずに見ることができるようになります。少し手間ですが試していただけると幸いです。 


 なにやら中国語のような言葉が聞こえてきます。今日は屋外で授業でしょうか?
 
 それにしても後ろにある建物のりっぱなことといったら・・・。
 
 パリにある首相官邸マティニョン宮を真似て、19世紀に作られた司教の館だそうです。
 
 これだけのものを立てるとは、司教というのはお金も権力もあったようです。
 
 この建物、現在はアンブロワズ=パレ高校の図書館になっています。
 
 一方、校舎はと言えば、時代はさらに古く、元は17世紀の修道院。
 
 「こんなに美しい建物の中で勉強ができて嬉しいですよ」と男子生徒。
 
 こちらの建物は修道院らしくごてごてした装飾はなく、シンプルで落ち着いた感じです。
 
 調理場で働いているエステルさんはこの高校の元生徒。現在は考古学クラブで活動をしています。
 
 案内してくれたのは発掘中の現場です。校舎の地下へ降りていくと広い空間があります。
 
 「初めは小さな穴だったんですが、毎週水曜日にみんなで少しずつ削っていったらこうなりました」とエステルだん。
 
 ここはどうやら修道院の地下礼拝堂だったようです。
 
 壁にはたくさんの落書きが残されていました。1877年やら1889年などの文字が読み取れます。
 
 「なんだか映画「いまを生きる」の洞窟みたいでしょ(笑)」
 
 さて、今度は校舎の高いところへと登っていきます。
 
 「ここは第1次世界大戦の頃から手つかずですから、当時のままの状態です」
 
 第1次大戦中、ラヴァルは負傷兵を治療する町としての役割を担っていました。この屋根裏もそのための病院として使われたのです。
 
 「ここにはオーストリア、ロシア、フランスなど各国の兵士が運ばれてきました。そして、短期間ですがここで療養していったのです」
 
 ここの壁にも兵士たちが記念に残した落書きがあちこちにあります。
 
 それから100年後の今、美しく修復された礼拝堂では演奏会が開かれていました。


 

 

******** フランス人のつぶやき *******

 

 

「今日、リセで化学の実験だった。安全を期して、白衣に手袋、目にはゴーグルで重装備。で、結局、ミネラルウォーターをあれこれいじっただけだった」

 

VDM (Vie de merde)より




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校舎 その3 [フランスのお宝]

 シリーズの三回目は、フランス南西部のコンドン(Condom)にあるジュール・フェリー小学校(école Jules-Ferry)を訪ねます。

 

 ここは学校になる前は宮殿でした。


Paris_Condom.jpg

 

 下記ウィンドウのをクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2015年4月15日に放送)(▸をクリックしても該当の映像が出てこない場合はウィンドウの下の文字をクリック

映像が途切れ途切れになってしまう皆さん。どうも映像の読み込みと再生の速度がうまく噛み合ないのが問題のようです。解決策として、本編が始まったところで一旦ポーズボタンをクリックし再生を止め、映像を読み込むまでしばらく待ちます。ある程度映像を読み込んだところで、もう一度再生ボタンをクリックすると途切れずに見ることができるようになります。少し手間ですが試していただけると幸いです。 



 観光客の方々が眺めているのがジュール・フェリー小学校の校舎です。
 
 18世紀、フランス革命直前に建てられました。現在、国の文化財に指定されています。
 
 宮殿ともなると階段の作りも豪華です。手すりの装飾が美しいですね。
 
 子供達が教室に入ると、見知らぬおじさんが待っていました。
 
 この方、元教師。定期的に校舎の成り立ちについて生徒たちに教えにきているそうです。
 
 「1780年頃、司教と仲の悪かった神父マリー・ドルラン・ドゥ・ポリニャックは、司教が修道院を見られないようにするために、ここに宮殿を作ることにした。そのためにフランス国王ルイ16世に、古い塔を壊し、その石で宮殿を作る許可を願いでたんだ。こうしてできたのが君たちが通っている校舎なんだよ」
 
 この教室は、昔は神父の居間として使われていました。壁には農作物や天使のレリーフが残されています。
 
 美しい宮殿ですが、これが完成形ではないそうです。
 
 本来なら屋上に手すりが作られ、人々が歩き回ることができるようになるはずでした。しかし、革命によってその工事ができなくなってしまったのです。
 
 宮殿は1789年に売却されますが、1882年にコンドン市が買い戻し、ここに男子校を作りました。
 
 133年もの歴史を誇る小学校は、今では男女共学です。
 
 それにしてもマリー・ドルラン・ドゥ・ポリニャック神父、ずいぶん豪華な宮殿を建てたものです。
 
 立派な門に、ギリシャやローマの神殿を思わせるファサード。
 
 かけた費用は全部で300,000リーヴル。
 
 今のお金でいくらくらいになるのでしょう?莫大な額になりそうな気がします。
 
 ここはフランスでも指折りの美しい校舎かもしれません。地元の人たちは誇らしげです。
 
 子供達にその歴史と成り立ちを教えたくなる気持ちもわかります。
 
 昔の蔵はリノヴェーションして今は食堂として使われています。
 
 これまた趣がありますね。
 
 

 

******** フランス人のつぶやき *******


「今日、小学校で新任の教師をしている。子供たちとは初対面だから丁寧な言葉で話しかけている。最悪なのはそれが自宅に帰っても続いてしまうこと。うちのネコにまで丁寧語で話しかけてしまった」

 

VDM (Vie de merde)より



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校舎 その2 [フランスのお宝]

 シリーズの二回目は、フランス西部の町トゥアール(Thouars)にあるコレージュ・マリー=ドゥ=ラ=トゥール・ドーヴェルニュ(collège Marie-de-la-Tour-d’Auvergne)(日本風に言えばマリー=ドゥ=ラ=ドーヴェルニュ中学校)という、少々長い名前の中学校を訪ねます。

Paris_Thouars.jpg 

 


  下記ウィンドウのをクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2015年4月14日に放送)(▸をクリックしても該当の映像が出てこない場合はウィンドウの下の文字をクリック

映像が途切れ途切れになってしまう皆さん。どうも映像の読み込みと再生の速度がうまく噛み合ないのが問題のようです。解決策として、本編が始まったところで一旦ポーズボタンをクリックし再生を止め、映像を読み込むまでしばらく待ちます。ある程度映像を読み込んだところで、もう一度再生ボタンをクリックすると途切れずに見ることができるようになります。少し手間ですが試していただけると幸いです。 



 トゥエ川の岸辺に建つゴージャスな建物。ラ・トレモワル公爵家のお城(Château des ducs de La Trémolite)です。

 

 1635年、ラ・トレモワル公爵家に嫁いできたマリー=ドゥ=ラ=トゥール・ドーヴェルニュが自分の住まいとして作らせたもの。

 

 このお城が、今回訪ねる中学校です。生徒数は約350名。城の主の名前がそのまま学校の名前になりました。

 

 広い校庭から校舎の中に入ってみると、さすがお城だけあってピンク色の大理石で作られた見事な階段がありました。

 

 「お城が学校だなんてフランスでもそうあることじゃないですし、これだけりっぱな校舎というのも珍しいです。ちょっと時代遅れかもしれませんが、高価な建物だと思います」と生徒のカンタン君。

 

 公爵夫人の住まいだったこの建物、時の流れととも変貌し、兵舎や牢獄として使われた時代もありました。

 

 中学校として使われ始めたのは今から80年あまり前のことです。

 

 こちらは図書館。天井の作りが歴史を物語っています。

 

 「お城が校舎だと勉強する意欲が湧いてきます。前の学校はコンクリート建てだったのですが、こっちの方が落ち着きます」と女生徒。

 

 そして屋根裏を改造してできたのが美術室。

 

 「私は美術史を教えていますが、校舎を生きた教材として使えるのがいいですね」と先生。

 

 この校舎は生徒のインスピレーションの源にもなっているとか。

 

 お昼を食べる食堂も窓もお城らしい作りになっています。どことなくハリー・ポッター風。

 

 校舎の玄関を開けてくれたのが校長先生です。

 

 「緊急に子供達を外に出さなくてはならない時はちょっと困るんですよ。ドアが内側に向かって開くようになってますからね」

 

 校舎とお城では使い勝手が違ってしまったようです。

 

 校長先生のお部屋もりっぱです。まるで王様の執務室のよう。

 

 そしてちょっと面白いのは、先生方の肖像画が廊下の壁に飾ってあること。

 

 「公爵夫人は、自分の住まいが兵舎や牢獄になっているのより、子供達がのびのびと暮らしているのを見る方がずっと嬉しいと思いますよ」と女性教師。

 

 生徒が350人も通えるなんて、今から思えばお城というのは贅沢な建物なんですね。



 

******** フランス人のつぶやき *******

 

 

「今日、修学旅行のためにパスポートのコピーを持ってくるようにと生徒たちに言ったら、一人の生徒が表紙をコピーして持ってきた[あせあせ(飛び散る汗)]

 

VDM (Vie de merde)より




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校舎 その1 [フランスのお宝]

 今日から5回のシリーズで、フランスの学校の建物を紹介します。

 

 現代の校舎といえば、鉄筋コンクリートにサッシの窓ですが、このシリーズに登場する校舎は長い歴史をもち、少々古いですが美しい建物ばかりです。

 

 第一回目の今日は、ブルターニュ地方の都市レンヌ(Rennes)にあるリセ・エミール=ゾラ(lycée Emile-Zola)(日本風に言えばエミール=ゾラ高校)を訪ねます。

 

 Paris_Rennes.jpg



  下記ウィンドウのをクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2015年4月13日に放送)(▸をクリックしても該当の映像が出てこない場合はウィンドウの下の文字をクリック

映像が途切れ途切れになってしまう皆さん。どうも映像の読み込みと再生の速度がうまく噛み合ないのが問題のようです。解決策として、本編が始まったところで一旦ポーズボタンをクリックし再生を止め、映像を読み込むまでしばらく待ちます。ある程度映像を読み込んだところで、もう一度再生ボタンをクリックすると途切れずに見ることができるようになります。少し手間ですが試していただけると幸いです。 



 歩くとギシギシ音がする板張りの長い廊下。

 

 この廊下を支えているのがアーチ型の柱のある回廊です。

 

 ナポレオンの肝いりで1802年に初めてのリセが9校創設されました。そのうちの一つがこのリセ・エミール=ゾラです。

 

 校舎は当時のもの。中に入ってみましょう。

 

 ここは科学の授業が行われる教室です。生徒の座る机には落書きがいっぱい。

 

 窓の外にも落書きが・・・。

 

 そこには、LÉON 1914と彫られています。

 

 「一緒に棕櫚の葉が描かれているところから、レオンという生徒がバカロレア(一口に言ってしまえば大学入学資格試験のようなもの)に合格したのを記念して彫ったのでしょう。そしてこのレオン君は、第一次世界大戦戦没者記念碑にもその名が刻まれているのです」とこのリセの元教師。

 

 バカロレアに受かったものの、大学に行くこともなく戦争で命を落としてしまったようです。

 

 さて、古い校舎の中には、古い教材も残されています。

 

 「ここにある古い実験器具は今でもちゃんと機能します」と物理化学の元教師ジェラールさん。

 

 ジェラールさん、実際に実験を披露してくれました。

 

 金属の板に白い砂を巻いてバイオリンの弓で弾くと、幾何学模様が現れました。

 

 他にも不思議な道具がいろいろ保存されているようです。

 

 リセには創設の時から礼拝堂が隣接されていました。

 

 しかしフランスの学校は非宗教が原則です。

 

 長く使用されなかった礼拝堂は、その後の修復で、外の構造を変えることなく内部を二つに分けることになりました。

 

 そして、美しいステンドグラスのある上階が図書館として生まれ変わったそうです。

 

 古い建物を修復しながら使い続けると、こういうことも起きるのですね。



 

******** フランス人のつぶやき *******

 

 

「今日、バカロレアの英語の面接試験で気を失った。緊張によるストレスだって?とんでもない。天井の壁が剥がれて頭に落ちてきたんだ」

 

VDM (Vie de merde)より




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