カーニバル2018 [イタリア]
東京は少し寒さが緩んで、もう少しがんばれば春がやってくる!と思えるようになってきました。春が待ち遠しい!
さて、昨日はマルディグラ。今週から本格的にカーニバルシーズンに入りました。
とは言っても、ヴェネツィアのカーニバルは2月3日から始まり、昨日の13日に終了していました。早いですね。
そのカーニバル、参加者の80%近くがフランス人なんだそうです。
知らなかったあ〜。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧ください。(フランスのTV局France 2で2018年2月10日に生放送)
映像が途切れ途切れになってしまう皆さん。どうも映像の読み込みと再生の速度がうまく噛み合ないのが問題のようです。解決策として、本編が始まったところで一旦ポーズボタンをクリックし再生を止め、映像を読み込むまでしばらく待ちます。ある程度映像を読み込んだところで、もう一度再生ボタンをクリックすると途切れずに見ることができるようになります。少し手間ですが試していただけると幸いです。
こちらのフランス人ご夫妻、10時間かけてマルセイユからヴェネツィアにやってきました。
もう20年の前から続いている恒例の旅です。重そうな荷物。
「一つは25キロ、もう一つは35キロほどあると思います。リオのカーニバルだったらもっと軽くて済むでしょうね」とムッシュー。
トランクの中にはカーニバルのための衣装が入っているようです。確かに、リオだったら軽いでしょうね。
ヴェネツィアのカーニバルの名物がこれ、“エンジェル・フライト(Volo dell'Angelo)” 。
天使に扮した女性が宙づりになりながら、地上98メートルの鐘楼からサンマルコ広場に、10分近くかけてゆっくりと降りてきます。
こうしてみると、サーカス並みの曲芸ですね。恐ろしい・・・。
そして、仮面をつけたこの姿は華やかでミステリアス。ヴェネツィアのシンボルと言っても過言ではありません。
しかし、仮面の中は、大半がフランス人だとか。
その中の一組が、先ほど紹介したご夫婦。もう常連さんのようでホテルの従業員とも顔見知り。
こちらがカーニバルの期間中に宿泊するお部屋。ベランダの向こうにはこんな風景が広がっていました。
しばしこの眺めを楽しんだら、いよいよ荷ほどきです。
出てきたのはカーニバルの衣装。どれもマダムの手作り。
すでに30着はお持ちだそうです。入れ込み方が並みじゃないですね。
「8日間、衣装を身につけて夢のような時間を過ごすんです」とマダム。
そしてホテルの方が、カーニバルに合わせてお部屋のカーテンを新しいのに取り替えてくれるようです。VIP待遇ですね。
さあ、いよいよ仮装の準備。最後に仮面をつけたら出来上がり。ここから先は口をきいてはいけないそうです。
しかし、どうやら仮装はマダムだけのようです。
「仮面をつけたら前がよく見えないでしょう?それに息苦しい。あんな衣装を着込んで転んだりしたくないですからね。私はご免こうむりますよ」とムッシュー。
そんな旦那さんを尻目に奥様はさっさとお仲間に合流。
なんだか仮面と声がどうもちぐはぐ。口を聞いちゃいけない理由がよくわかります。
夜はホテルのレストランでディナーパーティー。ムッシューも正装でご参加です。
昔の貴族の退廃的な雰囲気が漂います。
******* フランス人のつぶやき *******
「今日、祖母に、やっと気に入ったウェディングドレスが見つかったと言ったら、祖母が言った。『あんたたちの結婚式はカーニバルよりひどい仮装大会になりそうだわね』・・・」
VDM(Vie de Merde)より
モッツァレラ戦争勃発 [イタリア]
わが家では寒くなるとシャランテーズと呼ばれるフランス製室内履き(→こちら)を履いています。
羊毛のフェルト生地で作ってあり、フカフカであったかいのですが、3年目となると少々くたびれてきました。
毛糸をほどいて自家製のフェルトを作って足そうとしたのですが・・・うまくいかず失敗(涙)。再挑戦するかどうか思案中。
さて本日はイタリアの話題です。
イタリア産チーズのモッツァレラ。ピッツァにのせたりカプレーゼにしたりして食べるととっても美味しいのですが、イタリアではこのチーズをめぐってちょっとした騒動になっています。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧ください。(フランスのTV局France 2で2018年1月4日に放送)
映像が途切れ途切れになってしまう皆さん。どうも映像の読み込みと再生の速度がうまく噛み合ないのが問題のようです。解決策として、本編が始まったところで一旦ポーズボタンをクリックし再生を止め、映像を読み込むまでしばらく待ちます。ある程度映像を読み込んだところで、もう一度再生ボタンをクリックすると途切れずに見ることができるようになります。少し手間ですが試していただけると幸いです。
こちらのモッツァレラ農家では、水牛のマッサージで一日が始まります。
気持ちがいいのか水牛自らブラシに体をこすりつけているように見えます。
さらに、音楽鑑賞も日課になっています。曲に合わせて頭を動かす水牛。
至れり尽くせりのストレスフリーの飼育環境です。
オーナーのアントニオさんは、これが質のいいモッツァレラチーズを作るコツなのだとか。
「ここの水牛から取れるミルクは、普通の牛のミルクより脂肪もプロテインも多いんです」とアントニオさん。
問題はこの “モッツァレラ”という呼び名です。
これまでこの名称を使えるのは、カンパニア州の水牛から生産されたチーズに限られていました。
ところがイタリア政府は、これをプッリャ州の普通の牛から作られたチーズにまで拡大したいと考えているそうです。
これを知ったカンパニア州の生産者たちは、政府に裏切られたと怒りを隠しきれません。
数百年も前からモッツァレラと言えば水牛と決まっていました。これが普通の牛でもいいとなったら混乱が起きるというわけです。
「そんなことをしたら区別がつかなくなります。消費者が自分で何を食べているのかわからなくなりますよ。そんなことあってはいけません」とアントニオさん。
カンパニア州のモッツァレラは何百年も前から同じ方法で作られてきました。
水牛の乳を凝集したもの(イタリアではパスタと呼ぶ)にお湯をかけ良く練って弾力ができたところで引きちぎって整形します。
できあがったチーズは水牛と普通の牛とではまるで質が違うと言います。
「われわれのモッツァレラは密度が高く固いので二つに割るためには力が必要です。それに色も真っ白なんです」
なんか、美味しそう・・・。水牛のは食べたことがないのでカプレーゼにして食べたい!
それはともかくとして、カンパニア州だけに限定するのか、それともプッリャ州にまで拡大するのかは、ブリュッセル、つまりEU議会で決定されるそうです。
******* フランス人のつぶやき *******
「今日、スーパーで買い物を済ませレジに並んでいると、透明の液体が大量にこぼれてきた。良く見ると魚屋で買った生きのいいエビがモッツァレラを狙って穴を開けたらしい」
VDM(Vie de Merde)より
ナポリピッツァ登録 [イタリア]
先日、買い物のついでに、梅で知られる近くの公園を通ったら、梅の枝に極小さな花の芽のようなものがたくさん出ているのに気がつきました。
どう考えても、あの小さな芽が成長すれば花になるとしか思えません。
考えてみれば、早い木ならあと1ヶ月もしたら花が咲き始める頃です。梅って人知れず成長してるんですねえ〜。
それはともかくとして、本日はピッツァのお話です。
あのナポリピッツァがユネスコの世界遺産の仲間入りを果たしたそうです。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧ください。(フランスのTV局France 2で2017年12月16日に生放送)
映像が途切れ途切れになってしまう皆さん。どうも映像の読み込みと再生の速度がうまく噛み合ないのが問題のようです。解決策として、本編が始まったところで一旦ポーズボタンをクリックし再生を止め、映像を読み込むまでしばらく待ちます。ある程度映像を読み込んだところで、もう一度再生ボタンをクリックすると途切れずに見ることができるようになります。少し手間ですが試していただけると幸いです。
そうそう、ピッツァと言えばこの空中回し。すご〜い。
「こうやると空気が抜けて生地が均等になるんです。綿棒でゴロゴロなんて論外。DJみたいに回すこともしません。ナポリピッツァはこうやって叩くんです」とピッツァイオーロ(ピザ回し職人)のパウロさん。
トマトソース、モッツァレラチーズ、パルメザンチーズ、バジルをのせたらオリーブ油をさっとふりかけ、かまどに入れるのは1分から1分半。
こうしてできたのがマルゲリータです。ああ、美味しそう〜。
「ナポリピッツァはちゃんとした規則があって作られるんです。周りはカリカリで真ん中は柔らかくなくてはいけない。誰かに、他のピッツァはどう思う?と聞かれたことがあったけど、そのピッツァは単にお腹を一杯にするだけのピッツァだよって答えたよ」とパウロさん。
このピッツァイオーロの技術と共にナポリピッツァが世界遺産に登録されたため、街はお祭り騒ぎ。
ピッツァを持って通りを練り歩く三人の男性。真ん中の人が持っているのは何???持ち運び用の鍋なのか?
「世界遺産になって嬉しいよ。ナポリ人が世界でさらに力を発揮できるようになるからね」と男性。
「ちょっと遅すぎたくらいだね。昨日今日できたピッツァじゃないんだから」と別の男性。
有名になる前のピッツァはこんな風に露店で売られていました。
四つにたたんで紙に包んだのを皆さん食べています。当時は、貧しい人たちの食べ物だったそうです。
「大昔からこうやって食べてたんだよ。昔は朝食としても食べられてたしね。それに安かった。0.05か0.10ユーロくらいしかしない。だから貧乏な人でも食べられたのさ」とお店の方。
それにしてもすごい騒ぎ。ユネスコの世界遺産になったというだけで飲めや歌えの大騒ぎ。
登録が認められてほんと良かったですね。おめでとうございます!
******* フランス人のつぶやき *******
「今日、恐ろしい幻想を抱いていたことを知った。というのも、夫も子供たちも20年以上も前から私の手作りピッツァが好きじゃなかったことが判明。彼らの間では、しかめっ面をしないで食べられたものには飴玉のご褒美が与えられるという協定があるそうだ」
VDM(Vie de Merde)より
イタリアを巡る旅5 [イタリア]
シリーズの最後は、シチリア島へ。
標高756メートルの山の上にある町エリーチェ(Erice)を訪ねます。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧ください。(フランスのTV局France 2で2017年10月13日に放送)
映像が途切れ途切れになってしまう皆さん。どうも映像の読み込みと再生の速度がうまく噛み合ないのが問題のようです。解決策として、本編が始まったところで一旦ポーズボタンをクリックし再生を止め、映像を読み込むまでしばらく待ちます。ある程度映像を読み込んだところで、もう一度再生ボタンをクリックすると途切れずに見ることができるようになります。少し手間ですが試していただけると幸いです。
この眺め!
岩山の上のエリーチェからはシチリア島全土が見渡せると言っても過言ではありません。
要塞化され、ギリシャ神話の女神アフロディーテに捧げられたと言われるこの町も、長く放置されたままになっていましたが、ご覧の通り、立派に蘇りました。
この町に行くのに一番いい方法は、この山道を足で登ること。
標高756メートルを登るとなるとちょっと厳しい・・・。この男性二人はエリーチェの住人の方。
「こっちの道を通ってお城に行ってみよう」
男性の指差す方向を見ると、頑丈そうなお城が建っています。
「エリーチェは海と山の両方の文化がある稀有な町です」
中世の頃にはこの小さな町に教会が100前後もあったそうです。すごいですね、教会だらけ。
小さな路地もこの町の特徴です。この路地を犬と一緒にやってきたのはセルジオさん。この工房で働いています。
そのお仕事は、機織り。すてきなタピスリーが出来上がりそうです。
「機織りはエリーチェの伝統であり、我が家の伝統でもあります。この仕事が面白かったので初めは遊び半分でやっていましたが、今ではアトリエを構えて本格的にやっています」
セルジオさん、どうやら古着を集めて織物にしているようです。そう言えば、日本でも似たようなことをやっている人がいたような・・・。
エリーチェには歴史を感じさせるものがあちこちにあります。古い建物はかつての町の繁栄ぶりを伝えています。
町のお宝は古い建物や彫刻だけではありません。人間の味覚を満足させてくれる甘いお菓子もあります。
こちらはお菓子屋さんLa Pasticceria Maria Grammatico。
美味しそうなお菓子が次々に作られています。その中の一つがこのお団子のようなお菓子。
イタリア語ではなんというのかわかりませんが “尼さんのおっぱい” という意味のお菓子だそうです。先が尖っていて丸くて柔らかいところがその名の謂れのようです。
材料はアーモンドの生地に砂糖、そしてレモンジャム。
「小さい頃、私は修道院の寄宿舎で育ったんですが、夜中に壁の穴から覗いて、修道女がどうやってこのお菓子を作るのかこっそり見てたんです」とお店の主人のマリアさん。
“尼さんのおっぱい” はこの町では人気のお菓子だそうです。
さて、間もなく日没。この時間になると町のお年寄り3人組が、ビリヤードを他の新た後に町を散歩にやってきます。
このベンチからの町の眺めはまた格別です。
「ここは静かでいいですよ。犬を連れてくるんですよ。本当は若くて綺麗な女性と出会えるんじゃないかと期待してね(笑)」
「町の人は皆知り合いで大家族みたいなもんですよ。それに大気汚染もありませんよ」
「ここで暮らせて幸せですよ。ここでできるだけ長く生きていたいですね」
空から見ると、確かに山と海が融合した町に見えます。
終わり。
******* フランス人のつぶやき *******
「今日、危うくドラッグの売人と間違えられそうになった。クリスマスのプレゼントの入った小包を受け取りに行ったら、税関の犬がやってきて包の前に座った。包の中にはドラッグが入っていた???いやいや、田舎の山の中で作られた出来立ての美味しそうなソーセージが入っていたんだ」
VDM(Vie de Merde)より
イタリアを巡る旅4 [イタリア]
シリーズの四回目は、トゥルッロと呼ばれるとんがり屋根の家で知られるアルベルベッロ(Alberbelloe)を訪ねます。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧ください。(フランスのTV局France 2で2017年10月12日に放送)
映像が途切れ途切れになってしまう皆さん。どうも映像の読み込みと再生の速度がうまく噛み合ないのが問題のようです。解決策として、本編が始まったところで一旦ポーズボタンをクリックし再生を止め、映像を読み込むまでしばらく待ちます。ある程度映像を読み込んだところで、もう一度再生ボタンをクリックすると途切れずに見ることができるようになります。少し手間ですが試していただけると幸いです。
たくさんのトゥルッロが並んでいます。中にはこんな印の描かれた屋根も。
町の教会もこの通り、とんがり屋根。てっぺんには小さな鐘楼があります。美しいですね。中から天井を見るとこんな感じです。
一般のお家はどんな風になっているんでしょう?
フランチェスコさんは、父親や祖父と同じように、このとんがり屋根の家で生まれました。でも、ここでの生活は決して楽ではなかったそうです。
「兄弟は4人いましたが一つのベッドで寝てました。こっちには小さなベッドがあって祖母が使っていました。こちらがキッチンで、奥が両親の寝室でした。今は我々夫婦の寝室です。昔はドアはなくカーテンで仕切られているだけでした」
6〜7人の家族で住むにはちょっと狭いですが、二人だけだったらちょうどいいですね。しかも内装がステキ!
午後になって甥御さんが二人を迎えにやってきました。ちょうど改築の終わった甥御さんの家でお茶に呼ばれました。
中はフランチェスコさんの家よりずっと広々としています。
「この町では近代的な建物に住む人は少ないんです。ほとんどがこの古い家に住んでいます。古い家には前の世代から引き継いできた歴史があります。こういう家に住めるのは幸せなんです」と甥御さん。
この形の家が作られ始めたのは14世紀頃と考えられています。
伝説によれば、2,000戸が漆喰を使わずに建てられたとか。建てるのに時間がかからず、税金も払わなくて済んだそうです。
そして、とんがり帽の屋根には謎の印が描かれています。
その屋根を作り続けてきた一族がこの方々です。現在で4代目。
材料は石灰岩。これを整形して屋根にのせます。
「このようにして重ねます。こうすると雨は下の石を伝って下へ流れていきます」
先史時代から続けられてきた方法です。このやり方なら家が長持ちするそうです。
「こちらの屋根はよくできています。これなら300年は保ちますよ」
町の別の地域は観光客で賑わっています。こちらの夫婦はロンドンからやってきました。
「外から見ると小さく見えましたが、中は広々としているので驚きました」と男性。
かつてこの家には子供5人の他に家畜もいる家族が住んでいました。
貧しい暮らしを見てきた家が、今では豪華な宿泊施設に生まれ変わりました。
「ずっと前からこんなところで休暇を過ごしたいと思ってきたのよ。本当に美しい家です」と女性。
夕食はプッリャ地方の郷土料理オレッキエッテをいただきます。文字通り耳の形をしたパスタです。
「オレッキエッテは日曜日に食べるご馳走だったんです。昔は週に一度だけ贅沢をしてお肉を食べたんですが、その肉に入ったソースと一緒にオレッキエッテを食べました」と料理人。
夜のアルベロベッロはピンク色にライトアップされていました。
続く・・・。
******* フランス人のつぶやき *******
「今日、コーヒーカップを割り、車のワイバーを壊し、シャワーのカーテンを破り、足をくじいた。これらが全部立ったの3時間以内に起きたことだ」
VDM(Vie de Merde)より
イタリアを巡る旅3 [イタリア]
シリーズの三回目は、トスカーナ地方にあるサン・ジミニャーノ(San Gimignano)。その町並みはユネスコの世界遺産に登録されています。
どんなところなんでしょう?早速、訪ねてみましょう。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧ください。(フランスのTV局France 2で2017年10月11日に放送)
映像が途切れ途切れになってしまう皆さん。どうも映像の読み込みと再生の速度がうまく噛み合ないのが問題のようです。解決策として、本編が始まったところで一旦ポーズボタンをクリックし再生を止め、映像を読み込むまでしばらく待ちます。ある程度映像を読み込んだところで、もう一度再生ボタンをクリックすると途切れずに見ることができるようになります。少し手間ですが試していただけると幸いです。
トスカーナ地方の田園の中に現れたサン・ジミニャーノ。
漁師町ブラーノとは異なり、シックな佇まい。
丘の上に並ぶ塔は競い合うように空に向かって立っています。どれも中世に建てられました。
そんな塔の一つにお住まいなのがピエール=ルイージさん。
「作られてから1200年にもなる建物です。ここに住むということは、過去とともに、歴史とともに暮らすということなんです」
階段を上がって中に入ってみました。素敵な窓。そこから見える風景もまた趣があります。さすが世界遺産。
「こちらの家具は18世紀のもの。そしてここが塔の石壁です。このおかげで音響がいいんですよ」
ルイージさん、家族とともにここにお住いのようです。
塔の上には見晴らしのいいテラスがあります。眼下に見えるのはブドウ園とオリーブ園。
「サン・ジミニャーノは中世のマンハッタンって言いますが、真似ようとしたのはニューヨークの方ですよ(笑)。でもニューヨークに比べるとこちらの建物は人間が親しみの持てるサイズですしシンプルですから気に入っています」と息子さん。
サン・ジミニャーノはかつてローマとその他のヨーロッパの国々とをつなぐ道の要所になっていました。
また、イタリア有数の白ワインの産地としても知られています。昔は王様や教皇が飲む高級ワインだったそうです。
ここはワルテルさんのぶどう園。
「13世紀頃、サン・ジミニャーノのワインはヨーロッパ中の宮廷でよく飲まれていました。フランスの宮廷でも飲まれてたんですよ」とワルテルさん。
トスカーナのワインと言えば赤。この地域で白ワインというのは例外的だそうです。
ワルテルさんがワイン蔵に案内してくれました。最高級のワインはここで静かに一年間を過ごします。
こうしてできたのがこの白ワイン。銘柄はヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノ。
ワインの他にもトスカーナ地方のグルメが集まっています。
毎週開かれる青空市にやってきたのはエリッタさん。お買い物をすませると取材班を一番高い塔の上に案内してくれました。ここは町役場の塔。
「中世の頃、最初の行政官がこの塔より高い塔を建てることを禁止しました。そこで裕福な一族が、あそこに塔を二つ並べて建てたんです。一つを上に乗せればここより高くなるわけです(笑)」
エリッタさんはこの丘の上の家で暮らしています。ここからはサン・ジミニャーノの塔が見えます。
その塔を見ながらお料理をするのが日課。作っているのはタリアッテーレ。すべて手作り。美味しそうですねえ〜。
出来上がったら庭のテーブルで待っていたお友達に食べていただきます。
ワインにパスタに美しい町並み。三拍子そろった町でした。
続く・・・。
******* フランス人のつぶやき *******
「今日、同居人はお風呂よりパスタを茹でるためにお湯をたくさん使う」
VDM(Vie de Merde)より
イタリアを巡る旅2 [イタリア]
シリーズの二回目は、ヴェネツィアの潟の中にある島の一つ、ブラーノ(Brano)を訪ねます。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧ください。(フランスのTV局France 2で2017年10月10日に放送)
映像が途切れ途切れになってしまう皆さん。どうも映像の読み込みと再生の速度がうまく噛み合ないのが問題のようです。解決策として、本編が始まったところで一旦ポーズボタンをクリックし再生を止め、映像を読み込むまでしばらく待ちます。ある程度映像を読み込んだところで、もう一度再生ボタンをクリックすると途切れずに見ることができるようになります。少し手間ですが試していただけると幸いです。
こちらがそのブラーノ。びっくりするくらいカラフル!おもちゃではなく本物です。
水上に降りて見てみましょう。近づいてみると、17世紀の絵画のような町がそこにありました。
ボートに乗ってやってきたのがジノさん。家々のことなら何でも知っています。何しろ壁に色を塗ったのはジノさん自身。
「この町の歴史によると、昔からそれぞれの家はそれぞれに違った色に塗られていたんですよ。というのも、5〜6ヶ月漁に出て家を空けていた漁師たちが町に戻った時、自分の家がすぐにわかるようにと家に色を塗ったのです」とジノさん。
今日は、友人の家のペンキ塗りを仕上げるためにここにやってきました。
そのジノさんの友人がこんなお話をしてくれました。
「長い漁を終えて島に戻ってきた漁師が、自分の家へ帰ろうとしたんだが霧がかかっていて、どれが自分の家かわからない。迷子になってしまったんだよ。それである家の前に座っていた女に、『私の家はここだったかな?』と訊いたんだ。すると女が烈火のごとく怒り出して『あんた、私のことがわからないのかい!?情けないねえ。3ヶ月前、あんたが出発する前に結婚していた女がこの私だよ』」
なるほど、これはちょっとまずいですね。夫婦円満のためにも区別がつくようにしておかなくては!
でも、結局のところ本当の理由ははっきりしていません。
こうして町並みを見ていると、色がなかったらどれもみな同じでやっぱりわからなくなってしまいそうです。
各家の前には船着場があり、今でもここから船が漁に出て行くそうです。遠くにはあのヴェネツィアが見えています。
こちらの男性はブラーノ出身のフランス人でマルコさん。奥様のフランソワズさんと一緒に定期的に島にやってくるそうです。島には代々一家が住んでいた家があります。
「一階に大きな暖炉があって、この島独特の作りになっています。ここに来ると家族で一緒に暮らしていた子供の頃のことを思い出します」とマルコさん。
漁師の家はこじんまりしていますが、一体何人くらいで暮らしていたんでしょう?
「当時は5〜6人で住んでました」とマルコさん。
漁師の生活は楽じゃなかったようです。中には10人家族で住んでいた家もありました。父親が漁に出て一家を食べさせていたそうです。
そして、漁師たちは、こんな風に玄関前のテラスでご近所同士一緒に食事をしたりお酒を飲んだりするのが好きでした。
一方、このカラフルな家の他にブラーノの名物といえば、このサン・マルティーノ教会の鐘塔。
ご覧の通り左に傾いています。ブラーノの斜塔として知られているそうです。
そしてこの刺繍も町の特産品です。夫が漁に出ている間、妻たちは玄関の前でこうして刺繍を縫ってたそうです。
町にはもちろん観光客もやってきます。でも、落ち着いた漁師町の佇まいが壊れることはありません。
続く・・・。
******* フランス人のつぶやき *******
「今日、そして少し前から、ひどく怒りっぽい上司の下で働いている。今朝になって、彼がタバコを止めようとしていることを知った・・・」
VDM(Vie de Merde)より
イタリアを巡る旅1 [イタリア]
今日から5回のシリーズでイタリアを旅します。
第一回目の今日は、イタリア南部プッリャ州バーリ県にある海辺の町ポリニャーノ・ア・マーレ(Polignano a Mare)です。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧ください。(フランスのTV局France 2で2017年10月9日に放送)
映像が途切れ途切れになってしまう皆さん。どうも映像の読み込みと再生の速度がうまく噛み合ないのが問題のようです。解決策として、本編が始まったところで一旦ポーズボタンをクリックし再生を止め、映像を読み込むまでしばらく待ちます。ある程度映像を読み込んだところで、もう一度再生ボタンをクリックすると途切れずに見ることができるようになります。少し手間ですが試していただけると幸いです。
空から見たポリニャーノ・ア・マーレ。びっしり家が立ち並んでいます。
昔、ここがギリシャ領だった頃、ネアポリスと呼ばれていたそうです。日本風に言えば “新町” 。
その後、ローマ人、アラブ人、ノルマンディ人に次々と占領されてきました。
それにしても海の色の美しいこと!海は地中海ではなくアドリア海です。
朝の五時、ドメニコさんがボートで漁に出ます。
東の水平線に朝日が昇り始めました。ドメニコさんにとっては50年以上も前から見続けてきた風景です。
「子供の頃に父親に連れられて海に出ました。父には手伝が必要だったんです。それで私が手伝いました。以来、ずっとこの仕事を続けています」
ドメニコさんは代々漁師の家系。お祖父さんもひいお祖父さん漁師だったそうです。
釣りの餌はカニ。何が釣れるかといえば・・・タコ。
ポリニャーノ・ア・マーレは昔からずっと漁師町でした。そのせいか建物はすべて海に向かって建てられています。
この青く豊かな海と共に生きてきた町。
その海の恵みがお鍋の中で湯気を上げています。
ここはパスクワリーナさんのお宅。漁師町にふさわしく海鮮料理がお得意だそうです。
今日はドメニコさんが釣り上げたタコを使った料理を作っています。
「この町の郷土料理と言えば魚貝類の煮込み料理なんです」とパスクワリーナさん。
材料は、タコの他に、ジャガイモ、赤タマネギ、トマトだけ。
「新鮮で味にコクがあって素晴らしい料理です」と女性。
「私はいつも愛情を持って料理を作ってるんです。その愛情がなかったら料理はやらないほうがいいわね」とパスクワリーナさん。
イタリア人って料理といえば必ず愛とか言ってますよねえ〜。この間もイタリア関連の番組でそんなことを言っていたような・・・。
それはともかくとして、この町には世界に知られる有名人がいました。
それがこのブロンズ像の方、ドメニコ・モドゥーニョ。
“ヴォラーレ” と言う歌を作曲し歌った大スターです。1958年のことでした。
日本では最近、ジプシーキングスのカバーがビールのコマーシャルに使われたのでご存知の方も多いでしょう。
この町出身のドメニコ・モドゥーニョが故郷への愛を込めて歌ったのがこの “ヴォラーレ” でした。
そしてそのふるさとの風景がこれ。澄んだターコイズブルーの海と岩と家々。見とれてしまいますねえ〜。
地理学者のヴィトーさんが海の洞窟を案内してくれます。
「ここはこのような洞窟の上にできた珍しい町の一つです」
おお、美しい!これは町のお宝ですねえ。
しかし、洞窟の壁はもろくなっていて危険なので長くは居られません。
一方、絶壁の岩から飛び込むのは自由。
「子供の時から競い合って高いところから飛び込んでいました。でも水深が2メートルしかないので危険です」と男性。
やはり慣れた人でないと難しいようです。これこそヴォラーレ(飛ぶ)ですね。
続く・・・。
******* フランス人のつぶやき *******
「今日、ほっぺに青あざができてしまった。階段から落ちたからだろうって?それとも殴られた?いやいや、母のセルライト除去用吸盤を私の顔に使ってみただけ・・・」
VDM(Vie de Merde)より
世界の屋根から3 [イタリア]
今年の流行語大賞候補の中に「36億」というのがあって、一体何のことだ?と友人に尋ねたら「え〜っ、知らないの!?」と、骨董屋の片隅にある薄汚れた急須でも見るような目つきで言われてしまいました。
最近、つまらないからテレビを見てないのですよねえ〜。知らないのも致し方なし。
さて、シリーズの最後はイタリアの首都ローマを訪ねます。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧ください。(フランスのTV局France 2で2017年11月23日に放送)
映像が途切れ途切れになってしまう皆さん。どうも映像の読み込みと再生の速度がうまく噛み合ないのが問題のようです。解決策として、本編が始まったところで一旦ポーズボタンをクリックし再生を止め、映像を読み込むまでしばらく待ちます。ある程度映像を読み込んだところで、もう一度再生ボタンをクリックすると途切れずに見ることができるようになります。少し手間ですが試していただけると幸いです。
空から見たローマ。
ちょっと画像がいまひとつぼやけてますが、古い建物が所狭しと並んでいるのがわかります。
コロッセオも上から見るとこんな風になっています。できたのは西暦80年と言いますから、こうして今も残っていることに感動します。
そしてこちらは西暦128年に作られたパンテオン。ドームの真ん中に作られた天窓の直径は8.7メートルあります。
そのパンテオン前の広場を歩く男性はフランコさん、80歳。画家です。
「地上をたくさんの路地が交差しているのもローマの魅力の一つです」
そのフランコさんが向かったのは屋根の上に作られたテラス。ここで毎日創作に励んでいます。
周りを見渡してみると、民家の屋根が連なります。都会というより小さな村。
「ローマの屋根の特徴はといえば、ごちゃごちゃしたところなんです。でも、よく見ると瓦が規則正しく並んでいるのがわかります。その瓦は独特の色をしています。ローマ以外にこんな色の瓦はありませんよ」
フランコさんが描いた作品がこれです。
「ここからなら中世の頃の町をうかがい知ることができます。あそこにある教会は周りをぐるりと家に囲まれています。これこそがローマの原型なんです」
ローマには中世からバロックまで様々な時代の屋根があり、教会の数は900にも及びます。
スペイン広場へとつながる階段の一番上に立っているのはトリニタ・デイ・モンティ教会。フランスの教会です。
この教会に向かって階段を上がってくる方がジャン=ルカさんです。この教会の鐘のメンテナンスを担当しています。
地上60メートルの鐘楼からはローマの街を見渡すことができます。
そしてこれが教会の鐘。
「私の仕事はこの鐘が落ちてこないように点検することなんです。100キロ近くありますから、ここから落ちるようなことがあれば大惨事になりかねません」
ジャン=ルカさんはローマにある教会の鐘のほとんどを担当しているそうですが、仕事の最中にふと手を止めて、美しい眺めに見とれてしまうこともあるとか。
ルネッサンス様式の宮殿、ドーム、教会の鐘楼、民家の屋根に作られたテラス・・・。
ローマの屋根を知り尽くしている画家のフランコさん、今日はローマの中心街にあるという中世の塔にやってきました。
地上30メートルの塔の屋上で絵筆をとります。
「ローマは数千年の歴史を持つ比類ない街です。もちろんパリも素晴らしいですよ。でもローマは時代を重ねてできた街です。つまり、建物はその前に作られた建物を土台にして作られており、いわばサンドイッチのような建物でできているのがローマなんです」
19世紀も前に作られたパンテオンは 手つかずのまま今もこうして残されています。
ローマは長い歴史とともに今もこうして生き続けています。
終わり。
******* フランス人のつぶやき *******
「今日、昨夜の嵐で瓦が数枚飛ばされてしまった。父が張り切って屋根に上がり修理を始めた。天井からドンドンと叩く音がするのに気がついたのはそれから2時間後。音の主は父だった。梯子が外れて身動きできないと言いたかったらしい」
VDM(Vie de Merde)より
食のテーマパーク [イタリア]
2017年の政治ユーモア大賞が、元フランス大統領フランソワ・オランドさんに授与されたそうです。もちろんフランス国内でのお話です。
「私の大統領としての業績およびその “作品” に対して賞をいただいたようですが、私の作品はまだ完成してないのでして・・・」とジョークを飛ばしながら授賞式で挨拶をしたそうです。
元カノのセゴレーヌ・ロワイヤルやヴァレリー・トリールヴァイレール、今カノの女優ジュリー・ガイエなど、どうしてこうも次から次へと女性がそばに現れるのかなと不思議だったのですが、どうもこのユーモアのセンスなのではなかろうかと思い始めました。
それにしても、授賞式の映像を見るとさらに丸みが増したような・・・。
さて、先月、イタリアのボローニャに巨大な食のテーマパークFICO Eataly Worldが誕生したそうです。
一体どんなところなんでしょう?
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧ください。(フランスのTV局France 2で2017年11月29日に放送)
映像が途切れ途切れになってしまう皆さん。どうも映像の読み込みと再生の速度がうまく噛み合ないのが問題のようです。解決策として、本編が始まったところで一旦ポーズボタンをクリックし再生を止め、映像を読み込むまでしばらく待ちます。ある程度映像を読み込んだところで、もう一度再生ボタンをクリックすると途切れずに見ることができるようになります。少し手間ですが試していただけると幸いです。
こちらがそのテーマパーク。広さは4ヘクタール。サッカー場15個分もの広さです。
中を見て回るのに便利なのがこの自転車。前と後ろにカゴが付いています。
このイタリア人カップルと一緒に中に入ってみましょう。
まず立ち寄ったのがパルミジャーノ・レッジャーノのお店。
「このチーズは牛乳から作られています。これは3年熟成させたものです」とお店の方。
「う〜ん、美味しいね」と男性。
「このテーマパークは、我々のような生産者にとってはショーウィンドウみたいなものなんです。ここなら広くイタリアの美食を体験できますよ」
イタリアの特産品を売るお店を始め、それを食べることのできる飲食店、さらには作り方を教えてくれる教室まであります。
ここでは生徒さんたちがナポリ風ピッッアの作り方を教わっています。
「ピッツアは愛なんですよ。洗練された愛、大きな愛です。私たちはそれを世界に広げたいんです」と熱く語る先生のパオロさん。
まず、トマトソースにモッツァレラチーズとバジルを乗せた基本的なピッツアを作ります。
「ピッツアの歴史を学んだり、トマトやバジルの香りや生地の作り方を教えてもらったり、面白いですよ」と生徒の一人。
イタリアといえばこれ、ジェラートも忘れてはいけません。
「質の良い材料を使って作られたのが本物の美味しいジェラートなんです」とアイスクリーム職人のマルコさん。
高級そうなジェラートがウィンドウに並びます。
自転車で散策中のあのカップル、今度はパスタの作り方を教えてもらいます。
このテーマパークなら美味しいものをたらふく食べながら、イタリア料理も学んで帰れそうです。
年間、600万人の来場者を見込んでいるそうです。
******* フランス人のつぶやき *******
「今日、一年のイタリア滞在を終えてフランスに帰国することになった。荷物をスーツケースに詰め込んでやっとの思いで閉めた。ほっとしてその上に座った途端、スーツケースが爆発した」
VDM(Vie de Merde)より