ヨンヌ県を巡る旅 その3 [ブルゴーニュ地方]
シリーズの三回目は、ヨンヌ県のグルメ。
地元にはいったいどんなグルメがあるのでしょう?
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2011年6月17日に放送)(▸をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら)
ニトリ(Nitry)でオーベルジュ(食事付きの宿)Auberge de la Beursaudièreを経営しているマリー=アニックさんとセルジュさん。
この土地でしか作られていない食品を求めて市場にやってきました。
最初にみつかったのが、鶏poulet noir。poulet noirはヨンヌ県を含むブルゴーニュ地方でしか育てられていません。
「生クリーム、白ワイン、マスタードを使ったソースと良く合います」とマリー=アニックさん。
次は白アスパラガス。ヨンヌの白アスパラガスは4月中旬から6月下旬に収穫されます。
長い間、貴族の食べる高級品とされ、ルイ14世の大好物だったそうです。
一般の市場で売られるようになったのは20世紀になってからのことです。
三番目はワイン。ヨンヌにはあのシャブリがあります。
ここで作られているのは白ワインのみ。ブドウの品種はシャルドネ。
美味しいワインの秘密は石灰質の土地にあり、地下には多くの化石が堆積しているそうです。
シャブリのもう一つの名物はアンドゥイエット。
胃袋や腸を大腸の皮に詰め込んだこの食べ物ですが、ここでは、なんとエスカルゴが詰められているそうです。
真ん中のあの黒いのがエスカルゴでしょうか?いったいどんなお味なんでしょう?
「エスカルゴはミネラル分がたくさん含まれてますよ。シャブリの辛口白ワインに良く合います」とお店の方。
このアンドゥイエットをお買い求めになったマリー=アニックさん、宿に帰ったらシェフがさっそく料理にとりかかります。
まずはソース作り。白ワインや生クリームやチーズを使ったソースです。
アンドゥイエットは回りがカリカリになるくらい焼きます。
なんだか春巻きみたいに見えますね。
ここはもともとマリー=アニックさんのお祖母さんの家。
この古い家を維持するために、30年ほど前にオーベルジュにしたそうです。
レストランはお客さまで満員でした。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、付き合って一年目の記念日。彼女をレストランに招待した。食事の最後にお店の人にバラをプレゼントしてくれるように頼んでおいた。ボーイがやってきてバラの花を差し出すと彼女がきっぱりと言った。『結構です。花には興味ないの』」
VDM (Vie de merde)より
ヨンヌ県を巡る旅 その2 [ブルゴーニュ地方]
シリーズの二回目は、「フランスで最も美しい村」の一つ、ノワイエ(Noyers)村を訪ねます。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2011年6月16日に放送)(▸をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら)
中世の面影を残すノワイエ村は、ヨンヌ県の県庁所在地オセールから東へ40キロほど行ったところにあります。
人口は700人足らず。ヨンヌ川の支流であるスラン川沿いにできた村です。
かつては織物で栄え、タピスリーを作る工房があちこちにありましたが、現在では別の工房へと様変わりしました。
その一つが皮革工房です。
ベルギー出身のご夫婦が経営している工房ですが、アメリカで20年暮らした後、この地に落ち着いたのだそうです。
「この村を訪ねた人たちと同じで、一目見たときからここが大好きになりました。そして、皮革の仕事はこの村にとてもよく合うと思いました。村の人たちは暖かく迎え入れてましたし、今ではすっかり村の一員になっています」と奥さま。
美しい風景、親切な村人たち、おいしい食べ物とワイン、三拍子揃ったのがこの村なのだとか。
「二年半前にたまたまこの村で開かれていたトリュフ市に来たのがきっかけでした。今はとても満足しています。仕事も軌道にのってますし」とご主人。
ノワイエ村は昔から職人さんやアーティストが集まる村だったようです。
かつて職人組合のあった15世紀の建物には、樫の木で作られた彫刻が飾られています。
彫刻は、様々な職業やその守護聖人を表しているそうです。
フランソワさんのようなアーティスティックな焼き物を制作する人もいます。
昔、フランソワさんがバカンスをすごしていたのがこの村だったそうです。
アトリエには、生活に使うお皿などの食器から、照明器具、オブジェなど様々な作品が並んでいました。
この村には、映像を見ただけでも古い建物が数多く残っているのがよく分かります。
文化財の建築物は全部で78。ほとんどが15世紀頃に作られたものだそうです。
見応えのある村ですね。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、自分の店用にきっちりサイズを合わせた家具を作ってもらうことになっていた。開店の前日、家具を取りに行くと家具職人が言った。『サービスで、大きめに作っといたよ。同じ値段なら大きい方が良いだろう』」
VDM (Vie de merde)より
ヨンヌ県を巡る旅 その1 [ブルゴーニュ地方]
今日からブルゴーニュ地方ヨンヌ県を巡る旅を始めます。
第一回目の今日は、ヨンヌ県を南北に流れるヨンヌ川を訪ねます。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2011年6月13日に放送)(▸をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら)
釣りを楽しむ二人の男性。
「釣りには理想的な川ですよ。いろんな種類の魚が釣れます」
ヨンヌ川は全長293キロ。その間に水門が26カ所あります。
水源はモルヴァン(Morvan)山岳地帯。
かつて400年もの間、この山岳地帯の森から切り出された木材が、暖房用の薪としてパリに運ばれたそうです。その運ばれ方がユニークです。
森から切り出された薪は、片っ端から川に投げ入れられます。
川一杯に流れて行く薪。これを川沿いに立って、きちんと流れて行くように調整する専門の係がいたそうです。
川下まで流れて来た薪は、一旦川岸に引き上げられ、筏にされパリに運ばれました。
この筏が初めてパリに到着したのが1547年、最後に到着したのが1923年だったそうです。
途中には水門がありました。この水門、いくつもの細長いくさびのようなもので水量を調整するようになっています。
これが今では文化財の指定を受けているそうです。
現在のヨンヌ川は、ツーリストの乗るボートが行き交っています。
そして、川沿いにはスケッチを楽しむ人もいます。描かれていたのはオセールの教会でしょうか?
また、ヨンヌ川はカヌーやカヤックの練習場にもなっています。
なんとなく皆さん真剣な面持ち。
それもそのはず、ここからオリンピック選手や世界チャンピオンが誕生しています。
「ヨンヌ川はカヌーやカヤックに適しています。あらゆる状況に対応できるようにトレーニングができますからね。水深、水流など申し分ありません」とクラブの監督さん。
穏やかな流れのヨンヌ川はフランスのボート競技には大切な場所のようです。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、暖炉で、古くて大きな薪に火をつけた。しばらくしてたくさんの黒いものがうごめいているのが見えてきた。薪の中に住み着いていたアリがあわてて飛び出して来たのだった」
VDM (Vie de merde)より
お城を買ったその後は…… その5 [ブルゴーニュ地方]
シリーズの最後は、ブルゴーニュ地方のサン=ファルジョー城(Château de Saint-Fargeau)。(下記地図の紫印)
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2012年9月28日に放送)(▸をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら)
まずは、気球からお城を眺めます。
上昇する気球を地上から見送っている男性が城のオーナーであるミシェル・ギュイヨさん。
なぜか気球にはお乗りになりません。高所恐怖症???
奥様のノエミーさんと子供たちが空からの眺めを楽しみます。
お城は、屋根だけで2ヘクタールもあるそうです。
「地元の人が50人がかりで、やっと1㎡の屋根をかぶせたのよ。全部をかぶせるのに何人要る?」
突然、算数の問題を出されて頭をひねるのは息子のグザヴィエ君。
正解は、30年の工事中に延べ75万人だそうです。
空からだと城の大きさがどうもぴんときませんが、地上に立つと……巨大です。
「我々がここを手に入れた時はくずれかけていたんですよ」とミシェルさん。
お兄さん(又は弟さん)と一緒にミッシェルさんが城を手に入れたのは1979年のこと。
地元の人たちに支えられ、30年かけてここまでりっぱになりました。
お城の財源は3つ。
一つは見学料。年間30,000人が見学にやって来ます。
二つ目は、林間学校や乗馬クラブとして利用してもらうこと。
そして、三つ目が歴史スペクタクルショー。
毎年夏にこのショーを見に来るお客さんは4万人にも達するそうです。
出演者は600人。皆、ボランティアです。
このスペクタクルで、年間50万ユーロ(約5000万円)の経済効果が生まれ、屋根の修理費を賄うことができました。
ボランティアの出演者は皆バカンス気分で楽しそうです。
ミシェルさんはちょっとした劇団の座長さん。団員からの信頼も厚そうです。
何だかこの感じ、どこかで体験したような……と思っていたら、以前取り上げたことのある、あの新築中のお城ゲドロン城(以前の記事は→こちら)でした。
普通の人たちが楽しそうにボランティアで、中世の頃と同じ材料と方法で少しずつお城を作って行くという雰囲気が似てますね。
それもそのはず、ゲドロン城のコンセプトの発信地はミシェルさんだったのです。この方、アイデアマンですねえ。
最近、また別のお城の開拓に取りかかったばかり。今年の1月に80万ユーロで購入。
サン=ファルジョー城も最初はこんな荒れ放題のお城だったのかもしれません。
「スペクタクルショーもやりながら一日おきにここに来て手入れをするのはちょっと大変ですよ。でも、手伝ってくれるボランティアいますからなんとかなります」
「私は近くに住んでて、お城がどんどん傷んで行くのを見てましたからねえ。きれいになるんだったらいくらでも手伝いますよ」とボランティアの男性。
このお城もミシェルさんのアイデアでうまく行くといいですね。
因に、サン=ファルジョー城には宿泊できます。やや時代がかったインテリアの客室がいくつか用意されているようです。
詳しくは冒頭のお城の名前をクリックしてサイトをご覧下さい。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、そして5年も前から、私はボランティアで消防士をしていますが、救出した人の血圧を測るのがどうもうまく行きません。幸い、その救出した人がやり方を全部教えてくれたので助かりました」
VDM (Vie de merde)より
ブルゴーニュ地方の村巡り その5 [ブルゴーニュ地方]
シリーズの最後は、ワインの産地で知られるサン=ロマン(Saint-Romain)(下記地図の紫印)。
ブルゴーニュワインの中心地ボーヌと、ローマ時代の遺跡が残る歴史ある町オータンの間にあります。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2012年9月21日に放送)(▸をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら)
村の人口は250人ほど。村に近づくと、山が裂けて出来たかのような断崖絶壁が並んでいるのが見えてきます。
そこには洞穴があり、有史以前に人が暮らしていた形跡が残されています。
「紀元前5,300年頃に初めて農耕民族が住み着いたと考えられています。北風から逃れ、太陽の日差しのあるこの台地を住処としたわけです。近くには湧き水もありました」とこの地方の考古学者。
村の博物館には、遺跡から発見された古代の品々が展示されています。
古い石や岩があちこちに転がっているこの村を訪れる観光客は年間1万人ほど。
古代からの人間の営みの次に長い歴史を持つのがワインの生産です。
この村のワイン作りは今から8世紀ほど前から続いています。
ほとんどが長い歴史を持つワイン農家ばかり。
ビュイソン家は、現在の当主で8代目。
ちょうどこの日はワインの収穫と仕込みが行われていました。
ブルゴーニュの他の地域、たとえばヴォルネー、ムルソー、ポマールなどは、6月、7月の悪天候で収穫量は減少してしまいましたが、8月、9月に晴天が続いたことで品質のいいブドウになったとか。
少し標高の高いサン=ロマンの収穫は例年よりやや遅れました。
この地方のワインは村の名前と同じ名前のAOCが付いています。毎年、5月のペンテコステの週末には、大々的にワインの試飲フェアが開かれるそうです。
村のワインは村のレストランHôtel Restaurant Les Rochesで味わうのが一番。
エスカルゴはブルゴーニュ地方の名物。
シェフが厨房で作っていたのはリ・ドゥ・コションのタルトタタン風。
豚の胸腺や頭の肉を使っているそうです。タルトをひっくり返すところがタタン風。他ではあまりみかけない変わった料理です。
サン=ロマンでは豚や牛の飼育も行われています。
牛はシャロレー種で、脂身が少ないのが特徴です。この赤身の牛肉があの煮込み料理ブーフ・ブルギーニョンに合うそうです。
ワイン、エスカルゴ、シャロレー種の牛肉が揃っているとなると、サン=ロマンに行けば、ブルゴーニュ地方のグルメを一度に味わえるということになりそうです。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、娘が中1に進級した。娘は、先生に両親の職業について質問されると、母親である私の職業は『ワインを飲む係』と答えだそうだ。本当は『ワイン醸造学者』なのに……」
VDM (Vie de merde)より
ブルゴーニュ地方の村巡り その4 [ブルゴーニュ地方]
シリーズの四回目は、アノ(Anost)(下記地図の黄印)。
ブルゴーニュ地方=ワイン農家のイメージですが、この村はちょっと違っています。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2012年9月20日に放送)(▸をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら)
村の人口は700人足らず。モルバン地域自然公園の中にあり、回りは、ブナ、ナラ、スギなどの生育する森林に囲まれています。
馬に乗って登場したのがライター兼ジャーナリストのディディエさん。
フランスのあちこちを馬で旅していますが、40年も前からアノに住居を定めています。
ジャーナリストってポケットのたくさんついたこの手のベストを着ている人が多いですが、必須アイテムでしょうか?
それはさておき、村にはガルヴァシェ博物館(Maison des Galvachers)というのがあります。
ガルヴァシェとは、牛を使って重い荷物を運ぶ農民たちのこと。
この地方が林業で栄えていた100年ほど前、このガルヴァシェが大活躍しました。
村の人口も2,000人と今の三倍ほどだったそうです。
博物館にはガルヴァシェにまつわるものが展示されています。
番組に登場した白黒写真は1925年に撮影されたもの。
ガルヴァシェは、春にジャガイモの種付けが終わると、牛を連れて切り出された大木の運搬に出かけて行き、秋にはちょっと変わった楽器の伴奏で歌を歌いながら戻ってきました。
ちょっと変わった楽器ハーディ・ガーディ(仏語ではVielle à roue)は複雑すぎてどうなっているのかさっぱり分かりません。
おじさんの説明によると、基本はヴァイオリン。弓の代わりに把っ手を回すと音がでます。
把っ手を回すと木製の円盤が回転して弦を擦るしかけになっています。
そして、弦には鍵盤が付けられ、指で鍵盤を押すと音程を変えることができます。
アノでは8月の下旬にこの楽器のお祭りが開催されます。
その期間はヴァイオリンやアコーデオンなども加わってにぎやかになるそうです。
最近、豊かな自然と古い伝統のあるこの村が人気を呼んでいます。
オランダ人、ドイツ人、英国人がバカンスを過ごしにやってくるとか。中には住みついている人たちもいます。
「外から人がやってくるようになったんだ。古い建物は改築され人が住むようになったしねえ。いろんな国の人が一緒に暮らすというのが今の村の姿だよ」とホテルレストランの経営者。
マルティーヌさんも新しくこの地にやって来た移住組です。
レストランを開業していますが、畑で果物や野菜を栽培しています。
因に、キッチンで作っていたのはクラピアまたはクレピアという食べ物だそうです。
クレープのようですが、生地がちょっと厚め。
ピッツァにようにも見えますが、いったいどんなお味なんでしょう?
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、カラオケに行った。友人がのって歌っていると、スクリーンに “インストゥルメント” と出て来た。歌詞なしの伴奏だけの部分なのに、そのまま大声で『インストゥ〜〜ルメ〜〜〜ント〜〜〜〜』」
VDM (Vie de merde)より
ブルゴーニュ地方の村巡り その3 [ブルゴーニュ地方]
シリーズの三回目は、ワインの生産地で知られるイランシー(Irancy)(下記地図の緑印)。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2012年9月19日に放送)(▸をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら)
丘に囲まれた小さな盆地にあるのがイランシー村。人口は300人ほど。
丘の斜面にはブドウが植えられ、美しいストライプ模様を作り出しています。
人もまばらな昼下がり。村に一軒だけあるレストランLe Soufflotのバーは村人たちであふれていました。
「住人が互いをよく知るためには最適の場所なんだよ」
「ここは村の中心地なんですよ。レストランにもよく来ます」
そのレストランの天井には、ワインの村のレストランにふさわしく、ブドウの木が茂っています。
おかげで、印象派の絵のような木漏れ日ができていました。調度品もどことなくおしゃれです。
30人くらいで一杯になってしまう小さなレストランは、毎日、満員だそうです。
オーナーのファビアンさんは、なんと25歳という若さ。この地方で生まれたそうです。
そして、シェフのロランさんは生粋のパリジャン。ここに移り住んでからはパリに戻ろうなんて気にはならないそうです。
フランス人の好きそうな肉料理。気のせいか、パリ風仕立てに見えます。
「朝は村の誰かがパンを持って来てくれるし、ミルクも卵も必要な時は誰かがくれます。ここは皆が家族みたいなところなんですよ」とファビアンさん。
元村長のロジェさんが案内してくれたのは、イランシーで一番小さな通り。
少し頑丈な大男だったら通り抜けられそうもありません。
次に案内してくれたのが、築300〜400年の家。
石を積み重ねてできた建物のようですが、小規模なワイン農家独特のスタイルだそうです。
当然ながら、地下にはワイン蔵があります。昔は、最初にワイン蔵を作って、その上に家を建てたそうです。
映像に登場したワイン蔵は中世に作られました。イランシーで最も古い蔵です。
蔵の上の家を支えるために、天井はアーチ型に作られています。
そして、鉄格子の向こうは地下通路になっていて、イランシーのほとんどのワイン蔵がこの地下通路でつながっているそうです。
「地下通路は避難路みたいなものだったんですよ。ワインの産地であるイランシーはわりに裕福な村だったためにたびたび盗賊に襲われました。そんな時はこの地下通路を通って逃げたわけです」
この村は盗賊の標的でもありましたが、激しい宗教戦争やコレラで大きな被害を出した村でもあったようです。
今の平和な村からは想像もできませんね。
番組に登場したレストランの名前Soufflotは、この村出身の建築家Jacques-Germain Soufflotから来ているようです。
数々の偉人が眠るパリのパンテオン。これを設計したのがこの方でした。
- ショップ: みちのく岩手のワイン屋 竹澤
- 価格: 3,381 円
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、地下室で、突然すごい力で頭をなぐられ気絶してしまった。気がつくと、その犯人が目の前にいた。おばあちゃんが天井にぶら下げて乾燥させていた生ハムの塊だ」
VDM (Vie de merde)より
ブルゴーニュ地方の村巡り その2 [ブルゴーニュ地方]
シリーズの二回目は、世界遺産の大聖堂で知られるヴェズレー(下記地図の赤印)。
以前に2回ほど当ブログで紹介したことがあります。
いずれもサンティアゴ・デ・コンポステラの巡礼地としてのヴェズレーでしたが、今回は、大聖堂を含めた村が中心です。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2012年9月18日に放送)(▸をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら)
サント=マドレーヌ大聖堂のアシメトリーなファサード。丘の上にある村のシンボルです。
正午を30分ほど回った頃、中に入ると聖歌隊の歌声が聞こえてきました。
内部は、思わずため息がでるほどの美しさ。
薄暗くなにがなにやら分からない他の教会とは異なり、窓から入り込む光のおかげで、明るく清楚で、ちょっとおしゃれな内部がよく見渡せます。
ゴシックの萌芽をうかがわせるロマネスクの教会は、マリアさまをお祀りするのにふさわしい建物ですね。
建てられたのは12世紀。1840年に国の文化財の指定を受け、くずれかけているところを、建築家ヴィオレ=ル=デュクによって再建されました。
夏至の日の正午には、南の窓から入った太陽の光が中央広間(十字架に例えると交差部分)を照らし出すそうです。
そして、茶色と白の石が作り出すリズミカルな天井のアーチは見学者の目をとらえます。
ヴェズレーを訪れる観光客は年間100万人にものぼります。
因にこの丘で暮らしている人は250〜300人。
その皆さんがよく集まるのがビストロ風のカフェ&バーLe Vézelien。
「来ているのは顔見知りばかりですよ。良い時も悪い時も皆一緒です。家族以上の存在かもしれません」とワイン農家の女性。
ニコルさん夫妻がこのお店を引き継いだのは今から33年前のこと。そのころから村のバーとして繁盛していたそうです。
この村で生まれたカトリーヌさんのご自宅には、雨水をためておく施設が今でも残っています。
ヴェズレーには湧き水がなかったため、こうして雨水をためて利用していたそうです。
屋根に降った雨水が石の間を通ってここに溜まる仕組みになっています。
たまった水は飲料水に使ったり、ほかの人に売ったりしていたそうです。
興味のある方は以前の記事を
ヴェズレーには一度だけ行きましたが、真冬だったせいか年間100万人もの観光客がやって来るとは思えないくらい閑散としていました。しかも大聖堂へと続く通りは強風が吹き荒れおりました。
春か夏に行けば、また違った村の顔が見られるようです。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、ベッドに入って寝ようとした頃になって、ズポンのポケットからゴミを捨てようとして、車のキーも一緒にゴミ箱に捨ててしまったような気がして来た。あわてて夜の11時に土砂降りの雨の中を外のゴミ箱まで調べ上げたあげく、部屋に戻って来ると、キーは居間のテーブルに置いてあった」
VDM (Vie de merde)より
ブルゴーニュ地方の村巡り その1 [ブルゴーニュ地方]
今日からブルゴーニュ地方の小さな村を、5回に分けて訪ねます。
第一回目の今日は、フラヴィニー=シュル=オズラン(Flavigny-sur-Ozerain)(下記地図の青印)。
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村の人口は300人あまり。“フランスの最も美しい村” の一つです。
城壁に囲まれた村の建物のほとんどが15〜16世紀に建てられました。
長い歴史を感じさせる通りには、美しいルネッサンス様式のファサードを持つ建物もあります。
この村の建築物に詳しいリュックさんが案内してくれたのは、Maison au loup(狼の館)という不思議な名前の建物。
村で最も古い館の一つで、13世紀に建てられました。
窓は後世に少し手が入れられているものもありますが、中世の特徴を残しています。
上を見上げると、角にガーゴイルのような装飾が施されています。
ちょうど狼が羊をしとめて食べているところを表しているそうです。
「狼の館」の由来はここにあったのですね。
室内には14世紀に作られた木造の聖母子像が保管されています。
中世の特徴をとどめた館としては、階段の塔がある建物があげられます。
これもまたみごとな建築物ですね。
小さな村ですが、観光客には人気です。
「古い石造りの建物の並ぶ通りを歩くのが良いですね」
「静かで、平和で、穏やかなところです」
「ブルゴーニュ地方の魅力がいっぱいの村です」
教会前の広場には、昔の農家の納屋を改造した食堂La Grangeがあります。
30年ほど前から、地元の農家と生産者が協力して運営している食堂です。地元の食材を使った料理を提供しています。
キッシュとサラダがとても美味しそうでした。
そして、去年の今ごろ、当ブログで紹介したことのある、あのアニスのキャンディーを作っている元修道院がこの村にありました。
巨大な鍋の中の白いつぶつぶがキャンディーです。
初めは小さなアニスのシードだけだったのが、鍋の中で少しずつ砂糖をかぶせられて、最後は直径が一センチにも満たない丸くて小さなキャンディーになります。
食べる時はこれと逆の行程を辿り、最後はアニスのシードにたどり着き、その香りを楽しむことができます。
ここの建物も文化財に指定されています。なかなか面白い経歴を持つ建物です。
詳しくは以前の記事を→こちら。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、携帯を手に車を運転していたらお巡りさんに捕まってしまった。本当は、娘がシートベルトを外そうとするのをやめさせるために、『意地悪なオオカミさんに電話するぞ!』とおどしていただけだったのに……」
VDM (Vie de merde)より
ロワール川ワイナリー巡り その5 [ブルゴーニュ地方]
シリーズの最後は、ロワール川の向こう岸にあるプイイ=シュル=ロワール(Pouilly-sur-Loire)。
地理的にはブルゴーニュ地方ですが、ワインのくくりではロワールです。
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ロワール川を行くカヌー。漕いでいる方々はツーリストではございません。
丘に広がるブドウ園でブドウを栽培しワインを作っている皆樣方。
中の一人が指差していた場所は、中世の頃にベネディクト派の修道士がワインを作っていた場所。プイイのワインはここから発展を遂げました。
ブドウ畑は全体で1200ヘクタールほど。夕方の景色も早朝の景色も美しいそうです。
そして、ブドウ畑の中を横切っているのが高速道路。かつての国道7号線です。
夏に南仏でバカンスを過ごす人たちは、必ずこの国道7号線を車で通って行ったそうです。
あのシトロエン2CVが列を作って走っていたのかもしれません。
さきほどカヌーを漕いでいたヴァレリーさんは、17ヘクタールの畑でブドウを栽培しています。
ご本人で4代目。ワイン農家では珍しく女性です。
ドメーヌ名はSerge Dagueneau & Filles。名前の最後はちゃんとFilles(娘たち)になってます。念のため、Serge Dagueneauはヴァレリーさんのお父さんです。
前回登場した、代々長男が同じ名前で継承してきたドメーヌはAlphonse Mallot & son fillsといい、最後はfils(息子)になっていました。
今回のドメーヌは、初代が女性。1889年の生まれで、二つの戦争をくぐり抜け、夫を失くしながらも2ヘクタールのブドウ園でワインを作り続けていたそうです。
その孫にあたるのがセルジュ・ダグノー(Serge Dagueneau)さん。ヴァレリーさんの父親に当たります。
ヴァレリーさんが見せてくれたブドウの木は、フィロキセラの被害の後に植えられたもの。
60年代に撮影された白黒写真には、初代レオンティーヌさん(左)、二代目(中央)、三代目(右)が写っています。
このあたりの古いワイン農家で初代のレオンティーヌさんを知らない人はいないそうです。
「女性が馬を引いて、ブドウの木の手入れをしていましたから、当時はちょっと特異な存在だったようですが、皆から尊敬されていたようです」
日本で言うなら、肝っ玉母さんみたいな感じですね。
この地方で生産されるワインには、Puilly-fumé(白)、Pouilly-sur-Loire(白)の2つのAOCがあります。
Pouilly-sur-Loireはともかくとして、最初のPuillyには何故にfumé(煙でいぶす、つまりスモークの意味)がつくのか?
このあたりの土壌は石灰石と火打石が主な成分。その火打石を叩くと煙の匂いがするからfuméになったという説もあるようですが、実際は、ブドウが熟し始めると実の回りが白く曇ったようになり、地元の人たちがfuméと呼んだことが始まりだそうです。
なるほど、やっと謎が解けました。fuméってなんだろうとずっと思っていたのです。
近くには面白い建物もあります。
かつてはお城だったのですが、観光用の塔に作り替えられ、間もなく一般に公開されることになっています。
ここからロワール川はもとより、同業者のいるサンセールの村が見えます。
プイイの人たちはこう言っているそうです。
「(2つの村は)川で分かれていても、ワインでつながっている」
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、会社の面接試験が文字通り煙と消えた。というのも、昨晩、その会社が火事になってしまったのだ」
VDM (Vie de merde)より