メイド・イン・フランスの長靴 [メイド・イン・フランス]
昨日が雨傘なら、本日は長靴です。
アウトドアファッションのエーグル(Aigle)。創業から160年という老舗。
フランス西部ヴィエンヌ県のアングランド(Ingrandes)にある工場を訪ねます。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2013年2月17日に放送)(▸をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら)
エーグルというと思い浮かべるのがゴム長靴。
この工場では毎日4,000足が出荷されるそうです。
創業者はアメリカからやってきたHiram Hutchinson。はじめはこのゴム長靴と雨合羽を作っていたそうです。
素材は昔と変わらず天然のゴム。このゴムにいくつかの物質を混ぜて加工しています。
「1853年の創業からずっと変わりなくゴムを使って商品を作っています。もちろん時代の流れとともに手法は変わりましたがね」と工場長。
あの長靴、こうやって一つ一つ作られていたのですね。
完成するまでの60段階の作業が必要になるそうです。
一人前の工員になるためには2年かかります。
「細かな作業を正確にこなさなくてはなりません。ちゃんとした長靴が作れるようになるまでには少なくとの1年半から2年はかかります」と工員。
エーグルの長靴は、代々、農家、猟師、漁師など、実用的な分野で使われてきましたが、しだいにカラフルでデザイン性の強いものに変わってきました。
技術革新で履き心地も格段に向上しているとか。
今では世界70ヶ国に輸出するまでになっています。
「四分の三が輸出です。特にアジア向けが多いですね。海外に販売店が出来れば出来るほど、フランス国内に雇用が生まれることになります」と社長さん。
昨年の新規雇用は約50人ほど。そして、2015年までに年間100万足の生産をめざしているそうです。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、母が慈善団体に私の長靴を寄付してしまった。私が履いているところを見たことがなかったからだそうだ。毎日、40℃近くの猛暑続き。長靴よりビーチサンダルを履くにきまってます」
VDM (Vie de merde)より
メイド・イン・フランス3 その3 [メイド・イン・フランス]
シリーズの最後は究極のメイド・イン・フランス。
フランスのおばあちゃんたちが作ったニットの数々。いずれも子供向けです。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2012年10月26日に放送)(▸をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら)
レジーヌさんもモニクさんも若い頃からずっと編み物をしてきました。
それぞれ、テレビを見ながら、猫の相手をしながら、今も編み続けています。
お二人とも現役を引退して年金生活ですが、こうして出来上がったニットはネットで販売されています。
得意の編み物で一ヶ月に200ユーロ〜400ユーロ(20,000円〜40,000円ほど)の副収入を得ています。
月々の年金の半分ほどになる時もあるそうです。
とは言っても、レジーヌさんもモニクさんも自分でネットショップを開いているわけではありません。
このおばあちゃんたちの能力を活かしているのが、パリにあるMamy Factoryという会社。
電話でおばあちゃんたちと話をしていたのが創業者のステファニーさん。
数ヶ月前に、手作りのニットをネット販売することを思いつきました。
自社のデザイナーのデッサン画と毛糸と細かな注意書きを同封して、全国に散らばるおばあちゃんたちに送り、それに従って編んでもらいます。
出来上がったところで会社あてに完成品を返送してもらい、それをネットで販売するというシステムです。
会社は完成品一つに付き20ユーロ前後で買い取るそうです。
この会社に納品しているおばあちゃんたちは全国に30人ほどいます。
「年金生活のかたわらのんびりと働いてもらうことができますし、年金で足りない部分をこの仕事で補ってもらうこともできます。ラベルには作った人の名前を印刷しています。そうすることで一般のお店の商品と違って自分だけのものという感覚を味わってもらえます」
ニットは0歳〜3歳までの子供が対象です。価格は60〜100ユーロ。
セーター、ベスト、コート、パンツ、靴下など種類も豊富です。
そして、店舗はなくネット販売だけだそうです。
ビジネスモデルとしてちょっと面白いですね。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、娘の同級生たちが家にやってきた。私はちょうどセーターを編んでいる真っ最中。すると同級生の一人がやって来て言った。『うちじゃあ、おばあちゃんが編み物するよ』私はまだ33歳でございます」
VDM (Vie de merde)より
メイド・イン・フランス3 その2 [メイド・イン・フランス]
シリーズの2回目は、バレエシューズで知られるレペット(Repetto)。
工場のあるドルドーニュ県のサン=メダール=デクシドゥイユ(Saint-Médard-d'Excideuil)を訪ねます。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのネットTV局francetvinfoで2012年11月4日に放送)
職人さんが作っているのはオペラ座のバレリーナが履くトウシューズ。
レペットはバレーダンサー用のシューズを作るために1947年に設立されました。
設立者はバレエダンサーであり振付家でもあったローラン・プティのお母さんローズ・レペット。
しかし、現在の会社を経済的に支えているのは別の靴。最低でも160ユーロはする高級フラットシューズ。
1956年にレペットが売り出した当時は「サンドゥリヨン(シンデレラ)」という名前がつけられていました。
このフラットシューズの大部分がこの工場で製造されています。そして今でも手作りです。
「うちの特色は、洋服や手袋と同じで、裏がえしにして作ることです。くるっと表に返して仕上げの作業に入ります。でも、ほとんど裏も表も同じですよ」と社長さん。
それだけ柔らかく出来ているということですね。
需要に応えて生産量を3倍に増やすため、縫製師を養成する学校を工場の中に作ってしまいました。
これから4年間で150人の縫製師を雇用する予定だそうです。
授業内容は6ヶ月の実地訓練。先生は、まもなく定年退職する女性縫製師。自分の時代より早く仕上げられるように指導します。
「昔と同じテンポで作っていてはダメです。今は、同じものをより早く完成させることが求められています」と先生。
生徒は失業中の方が多いとか。ここで学びならが資格を取得すれば、将来を保証された業界で仕事ができると考えています。
「高級品の分野は未開拓部分がたくさんあり、大きな可能性を秘めていると思います」と生徒。
レペットの小売店は2003年には3店舗だったのが、今年は15店舗。海外を含めると60店舗に上るそうです。
店舗が増えれば当然、品数も増やすことになります。
シューズの他にバッグ、洋服が発売され、まもなく香水も売り出されることになっているそうです。
すべてがフランス製というわけではありませんが、できるだけ国内で製造できるように検討する予定だそうです。
「高級ブランドにはフランス製が数多くあります。だから、高級ブランドはフランス製であるべしみたいになっていますからね」
アジア市場の拡大で売上は20%増。日本でもこの手のフラットシューズを履いている女性をあちこちでみかけますね。
******** フランス人のつぶやき *******
「私はある家で家事を手伝う代わりに無料で下宿させてもらっています。今日、4歳になるその家の女の子が言った。『お姉さんって、シンデレラみたい。部屋の掃除をして、夕食を作って、私が頼んだこともやってくれるから』おかげで、別の角度から自分の仕事を見直すことができました」
VDM (Vie de merde)より
メイド・イン・フランス3 その1 [メイド・イン・フランス]
フランス製と言えば、すぐに思い浮かべるのが高級ブランド品。
しかし、人件費の安い海外で作られてもおかしくない日用品や工業製品などの中にもフランス製はあります。
その中から今日紹介するのが、鎖かたびら。
中世の騎士が鎧の下に身につけていた鎖のアンダーウェアです。
とは言っても、現代の用途はもっと多岐にわたります。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのネットTV局francetvinfoで2012年11月4日に放送)
フランス東部ベルフォール近郊のある工場では、この鎖かたびらが作られています。
鉄の細い糸が特殊な機械で鎖状に編まれ、一枚の布のようになっていきます。
大昔から同じ方法で作られてきました。違いは機械か手作業かだけ。
世界で10軒ほどの工場が今でもこの金属の布を作っているそうです。
価格は1㎡で200ユーロ。
主に防護服用に使われてきましたが、生き残るためには新しい顧客を開拓する必要がありました。
その一つがファッション業界。オートクチュールでここの製品が採用されたのです。
「機械を改良しつつ、様々な形態のものを製作して、デザイナーや建築家に提案してみたんです」と責任者の男性。
となると、職人さんたちの熟練のワザもまた新しい道を開く力になったとも言えます。
「仕事を続けていけるようになりますし、もっと幅も広がると思います」と従業員。
成功の鍵は、様々なデザインを開発したこと。
新しい分野への進出は2000年ころから始められましたが、今では製造全体の10%を占め、増加の一途をたどっています。
そして、昨年は、一つの受注で300,000ユーロ(約3,000万円)という高額なものまであったそうです。
建築家のパスカルさんにとって、この工場の製品は欠かせない素材になっています。
「工場の方達の創造性に驚きました。そして、ものを見せていただいて大変気に入りました」
この工場の製品は、スペインやスウェーデンの大型ホテルで採用されました。
また、現在は独自に、一般むけにインテリアの装飾品や小物も製作しています。
******** フランス人のつぶやき *******
「私はインテリアデザイナーですが、今日、女性のクライアントにプランを提案するために2枚の写真を見せた。するとクライアントが言った。『ええと、こっちがビフォーで、あっちがアフターね』いやいや、その逆なんですが……」
VDM (Vie de merde)より
エスパドリーユ [メイド・イン・フランス]
一昨日のフランス南部は酷暑に見舞われました。トゥルーズの気温は一時40℃を超えたそうです。どこも大変ですね。
さて、夏のリゾート地で良く見かけるのがエスパドリーユと呼ばれるサンダル。
元々はスペインとフランスにまたがるピレネー地域の農民の履物が起源だとか。
現在、フランスではバスク地方の町モレオン=リシャール(Mauléon-Licharre)が製造の中心地になっています。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。
日本でもあちこちのお店で並んでいるエスパドリーユ。
バスク地方の特産品です。その色とリーズナブルな価格で売れ行きは好調。
2006年の売上が1.8百万足だったのに比べ、2011年には4.1百万足と、倍以上に増加しました。
しかし、かつては消滅の危機に直面したこともありました。
1970年代の終わり頃、安価な中国製のエスパドリーユに市場を奪われ、約15軒ほどの工場が閉鎖され、数千人が失業するという事態に。
近年になり、新しいアイデアを持った若い世代のおかげで状況は上向きです。
番組に登場した若者二人はバスク地方出身。5年前にそれぞれの仕事を辞めて、この業界にやってきました。
自分たちの会社Art of Souleを設立し、カラフルなプリント柄やストライプ模様のエスパドリーユを売り出すと、あっと言う間に人気になります。
「ちょっと驚いていますよ。もう何年もこんな光景は見ていませんでしたからね」とマチューさん。
「最初の年間売上は20,000ユーロだったのですが、それが今では700,000ユーロです。今日はすでに2,000足ほど売れました」と、元銀行員のジュリアンさん。
二人は、地元の工場で伝統的な作り方を学ぶことから始めました。
工場も将来に期待して協力を惜しまなかったようです。
二人の生み出したエスパドリーユは質を重視。
アジア製のより少し高めで、下は15ユーロのものから、高級品になると150ユーロというのもあります。
そして、町には手作りの工房も一軒だけですが残っています。
Art of Souleのエスパドリーユは、今ではアジアに輸出するほどまでになっています。
そのきっかけが、フィレンツェの見本市で知り合った日本のアパレルメーカー、ダイドーリミテッドのディレクターだったそうです。
今年夏だけで50,000足を製造。65%が輸出向け。
アジアでは、日本、香港、台湾で販売されているそうです。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、母が、バカンスに行くのに忘れてはいけないもののリストを作った。その中に『車』というのがあった」
VDM (Vie de merde)より
プロヴァンスはソレックスに乗って [メイド・イン・フランス]
ヴェロソレックス(VéloSolex)とは、フランス生まれのモーター付き自転車のこと。
通称ソレックス。フランスでは普通名詞にもなっているほどポピュラーな乗り物です。
戦前の1940年頃から開発が始まり、第一号モデルが発売されたのが戦後すぐの1946年。
以来、フランスの若者の足として愛用されてきたそうです。
そのソレックス愛好家たちがプロヴァンスに集合しました。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2012年6月10日に放送)(▸をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら)
ソレックスは、基本的には自転車ですが、前輪の上というかハンドルの下のあたりに、回転ローラーのようなものが付いた超小型エンジンが搭載されています。
そのエンジンをレバーでおろすと、ローラーが前輪と接触し、前輪が回る仕組みになっています。
「これは1968年製です。今でもしっかり走ってくれますよ」と男性。
南仏の田舎道をさっそうと走るソレックス。
最高速度は30キロほどしか出ませんが、田舎の風景を楽しみながら走るにはちょうどいい速度だとか。
発売当時は、“ひとりでに走る自転車”というのがキャッチフレーズでしたが、馬力がないので上り坂はペダルをこがなくてはならないそうです。
なんだか今の最新の自転車と逆ですね。
この中には80才になるという元気な高齢者もいました。
レイモンさんは若い頃からずっとソレックスに乗ってきました。
自宅のガレージでは、何時間もかけて昔のソレックスを修理し動くようにするという筋金入りの愛好家です。
「修理とはちょっと違うんですよ。生き返らせてると言った方がいいです」とレイモンさん。
オレンジ色のソレックスはなかなか格好良いですね。
2006年には電気モーターのE-Solexが、2010年には電動アシストの折りたたみ式ヴェロソレックスが発売されたそうです。
また、アメリカ映画「コンドル」(1975年制作)の主人公ジョセフ・ターナー(ロバート・レッドフォード)が乗っていたのが3800モデルのヴェロソレックス。
そして、Mr.ビーンも映画「Mr.ビーン カンヌで大迷惑?!」(2007年制作)で乗っていたそうです。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、乗用車をよけようとして自転車もろとも転倒してしまった。車の運転手がおどろいて車をバックさせて大丈夫かと声をかけてきた。心配してくれたのはありがたいが、バックしたおかげで何の傷もなかった自転車がぺしゃんこに……」
VDM (Vie de merde)より
続メイド・イン・フランス その3 [メイド・イン・フランス]
シリーズの最後は、フランス製を保証するラベルについて。
製造業の海外移転に歯止めをかけようと、フランス政府主導で作られたラベルOrigine France Garantie(フランス産保証)。2011年5月から公式に始まりました。
またもラベルですか!と言いたくなるくらいラベル天国のフランスです。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2012年5月18日に放送)(▸をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら)
現在、フランスで製造業を営んでいる企業約100社がこのラベルを手にしているそうです。
その中の一つが番組に登場したオフィス家具の製造会社Majencia。国内の従業員数は800人強。
一ヶ月ほど前に取得したというラベルを見せてくれました。
「われわれの顧客、つまりフランスの企業になりますが、国内で製造されたものかどうかに注目するようになってきました。国内産業と雇用を支えているかどうかの判断材料になりますからね」と責任者の方。
このラベルを取得するには一定の基準に達していなければなりません。
つまり、製品を構成している部品の50%以上がフランス国内産のものでなくてはなりません。
この会社、これが100%だったらラベルを取得することはできなかったと言います。
部品のいくつかは安い海外産のを使っているそうです。
例えば引き出しの鍵。キーはヨーロッパ製、錠前は中国製だそうです。
国内での製造コストが上がる一方で、グローバリゼーションの流れには抗し難く、100%フランス産を要求するのは困難。
唯一100%を可能にできるのは農産業くらいだそうです。
しかし、このラベルにも問題があると言う人もいます。
海外で作られた部品を集めて、最後にフランスで組み立て仕上げているだけの会社が取得している場合があるとか。
また、消費者の中には、このラベルが100%フランス製を保証していると勘違いしてしまう人も数多くいるそうです。
因にこのラベルを取得している企業の中には、お菓子のBiscuits St Michel、ビールのKronenbourg、当ブログで紹介したことのあるCompagnie du Savon de Marseille、スキーなどのスポーツ用品のRossignolが入っています。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、友達と連想ゲームをした。お題は『ビール』。僕は、“ハイネケン”、“1664”、“クローネンブルグ”とヒントを出した。すると友達が言った。『ぜんぜん分からない。なにしろ歴史はからきしダメだからね』」
VDM (Vie de merde)より
続メイド・イン・フランス その2 [メイド・イン・フランス]
シリーズの二回目は、お人形。
飾っておくためではなく、子供が一緒に遊べる人形です。
作っているのはフランス北西部ムーズ県エテンにある会社Jouets Petitcollin。
Petitcollin(プティコラン)は創業者の名前。創業は1860年。
当時は角や象牙で櫛を作っていたそうです。
セルロイドに興味をもった創業者が、1926年、そのセルロイドを使って赤ちゃんの人形を作って売り出しました。子供が水遊びで使う人形です。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2012年5月19日に放送)(▸をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら)
次々と作り出される人形の頭。
現在はセルロイドではなく最新の合成樹脂。
そして、人形に仕上げて行くのは職人さんたちの手です。
中国製との競争に持ちこたえている唯一のフランスの工場だそうです。生産量は年間30,000体ほど。
「気をつけているのは製品の差別化です。つまり全体の質を良くすることです。製造方法、原料の他に、デザインにも力を入れています。お母さんが子供に買ってあげたいと思ってくれるようなデザインにしています。人形の着ている服も同様です」と責任者の方。
「マルセイユのデザイナーが毎年新しい洋服を考えてくれます。それを実際に作るのが私の仕事です」と縫製担当の方。
工場では製造工程を見学することができます。
ご高齢の女性お二人は、1950年代の最盛期にここで働いていた方々。
国内と海外の両方で顧客を満足させるためには買いやすい価格でなければなりません。
となると、そのための譲歩、つまりはコストを下げることも必要です。
人形の着ている服はチュニジア製。さらに、従業員は一人で何役もこなします。
この工場、2007年から国の文化財の指定を受けています。
日本には人間国宝というのがありますが、その企業版のようなもの。
2009年にはここの人形が切手にもなったそうです。
顔の表情がなんとも魅力的なお人形でした。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、娘がうちのネコを着せ替え人形にして遊んでいたのだが、ネコは嫌がってどこかへ逃げて行ってしまった。帽子をかぶって、ガウンを着たネコを見かけたら、それがうちのネコです」
VDM (Vie de merde)より
続メイド・イン・フランス その1 [メイド・イン・フランス]
ワシントンで開催中のG8。
首脳だけのノーネクタイの夕食会に、オランドさん、しっかりネクタイを締めて現れました。
ひょっとしてこの方、天然ボケ???
ご本人は「メディア向けだよ」とおっしゃっていたとか。
この映像に興味のある方は→こちら。
野田首相のクローズアップはありませんでしたが、夕食会の写真に後ろ姿が写っていたような……。
メディアなしの夕食会ではオランドさんもネクタイを外してました。
さて、今日の話題は、日用品のガラス食器とボールペン。どちらもフランス製でよく知られています。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2012年5月14日に放送)(▸をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら)
フランス製のガラスの食器と言えば、Duralex(デュラレックス)。
わが家にはこの形のグラスがあります。
水もワインも麦茶も全部これですませます。グラスの底にはしっかりMADE IN FRANCEの文字。
その工場は、パリから南へ140キロほど行ったところ、ロワレ県ラ・シャペル=サン=メマンにあります。
創業から70年ほどになりますが、コップの底のロゴは一度も変わっていないそうです。
そして、原料もすべて国内調達。これぞメイド・イン・フランス。
しかし、競争に生き残るのは簡単なことではなさそうです。
「柔軟な対応はできませんし、必要経費も重くのしかかってきます。決して有利な立場ではありませんよ」と工場の方。
一方、こちらはボールペンのBic。
工場はセーヌー=エ=マルヌ県モンテヴランにあります。
「ボール、ペン先、インク、これらを一つに組み立てるのがこの工場です」と従業員。
重要な部分を作る機械はガラスの向こうに隔離。公開されることはありません。
フランス製と言っても、60%が国外で作られているとか。
しかし組み立てと開発は100%国内です。
「いくら海外がローコストだからと言っても、技術がなければその利点を活用することはできません。ですから、技術はフランス国内で保持しておかなくてはなりません」と製造責任者の方。
DuralexもBicも、海外との競争に持ちこたえて、80〜90%が輸出用だそうです。
******** フランス人のつぶやき *******
「私は高級ブランドの店員をしています。今日、値段が高い理由を説明するのにこう言った。『マダム、これは中国製ではありませんよ』そのお客の顔を見たとたん、自分が大失敗をやらかしたことに気がついた」
VDM (Vie de merde)より
メイド・イン・フランス その4 〜飲料〜 [メイド・イン・フランス]
シリーズの最後は、飲料。その名もCacolac(カコラック)。
コカコーラまがいの飲み物かと思いきや、ミルクココアのようなまったく別の飲み物でした。
工場があるのはボルドー郊外にある人口9000人ほどの町レオニャン(Léognan)。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2012年1月27日に放送)(▸をクリックしても該当の映像が出てこない場合や、直接TF1のサイトでご覧になりたい方は→こちら)
この飲み物が生まれたのは1954年のこと。それ以来、製造方法は変わっていません。
茶色い粉はココア。牛乳(もちろんフランス産)は高熱で殺菌処理されます。
この2つに砂糖を加えて混ぜてできたのがCacolac。
「製造工程についてもう少し詳しく教えてもらえませんか?」と取材班。
「申し訳ありませんが、それは企業秘密でお話しすることはできません」と責任者のトリスタンさん。
ということは、どうやらこの飲み物、簡単に誰にでも作れるというわけではなさそうです。
会社が出来たのは1947年。当時は、ボルドー市内に工場を構え、殺菌乳、ヨーグルト、フレッシュチーズなどの乳製品を作って市場で売っていました。
そして、創業者の息子の一人が牛乳にココアを混ぜた飲み物を思いつきます。
商品にはCacolacという名前が付けられ、小型トラックにのせられ、町から町、村から村を移動して売られるうちに評判になり、大型店でも販売されるようになります。
1980年代の年間の売上本数は3000万本に達していました。
現在の売上はその半分。しかし、国外での生産はいっさい考えていないそうです。
レオニャンに新しい工場を構えたのが2000年のこと。
現在使っているフランス製の機械もその時設置しました。
「これまでの品質を維持すること、それが新しい機械を選ぶときの基準でした。今さら他へ行くなど考えられません」とトリスタンさん。
「しかし、価格の問題がありますよね」と取材班。
「もちろん競争に持ちこたえる必要はありますよ。ですから、私たちはきちんとした物作りをして、質のいい商品を作って販売しているんです」
ここの研究所では、新しいマーケットを求めて研究が続けられています。キーとなるとなるのはバイオ。
こちらの会社も、次は輸出が大きな目標だとか。
因に、Cacolacがフランスで普及したのには、サッカー元フランス代表のジャン=ピエール・パパン氏が一役買っているとか。
というのも、フランスのテレビ局Canal+(カナル・プリュス)の名物番組Les Guignols de l'Info(有名人を人形にパロディ化して茶化した番組)で、Cacolacが好物という設定で登場させていたそうです。その一つが下記の映像。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、大手のソーダ飲料メーカーの面接試験だった。面接官と一緒にお昼を食べることになったのだが、へまをして、ライバル会社の飲み物を頼んでしまった」
VDM (Vie de merde)より