5月のバラ [プロヴァンス地方]
ケラ地方を訪ねて5 [プロヴァンス地方]
何やかや言って、あっという間に1月が終わって、もう2月です。
暦の上では今日は立春。そろそろ春が恋しくなってきました。桜の開花まではまだ2ヶ月ほどあります。
昨日、梅の話をしたばかりなのに、今日はもう桜の話か・・・。
さて、ケラ地方シリーズも今日が最後です。
最終回は、豊かな森林資源を使った工芸品のアトリエを訪ねます。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2017年1月27日に放送)
雪の下を流れる川。川の水は凍らないようです。日当たりが良いせいでしょうか?
こちらがそのアトリエです。木を削る音・・・。
「これがケラ模様の代表的なものです。六角形の星と、こっちのは”太陽”と呼ばれているものです」とモーリスさん。
ここは標高2,700メートルのところにある小さな村アブリエス(Abriès)のはずれにある50人ほどが暮らす集落です。
天然の湧き水の流れだす共同水道の柱にも伝統の模様が彫られています。
「職業であろうが趣味であろうが、家族のうち一人は必ずこの彫刻をやっていますよ」
モーリスさん、奥様のパトリシアさんと一緒にこの工房を営んでいます。
モーリスさんはこの村の生まれではありませんが、もう40年近くも前から彫り続けて、心も体もすっかりこの地に根付いてしまいました。
仕事は、奥様がデザイン担当で、板に彫るのがモーリスさんの担当です。
「彫刻にはこの板がよく使われています。質が均一なので使いやすく仕上がりもいいんです」
コンパスを使ってパトリシアさんが板に模様を描いています。
「シンプルなモチーフを組み合わせたり、同じ模様を繰り返したりして、それぞれ個性のあるデザインに仕上げるんです。私たちはわりに凝った模様を制作しています。例えばこれです」
確かに、ちょっと複雑で繊細です。
「これは1515年頃の雨戸に彫られていた模様なんです」
そんな時代から続いている工芸なんですね。同じような幾何学模様なのに組み合わせるとそれぞれ異なった表情になります。
一方、モリーヌ=アン=ケラ村(Molines-en-Queyras)近くにある別のアトリエでは、ナターシャさんがオリジナル作品を制作しています。
雪山の見えるテラスで、木製の球体をガスバーナーで焦がしています。
「こうしてバーナーを当てると、パチパチ音をさせながらヒビが入っていきます」
最後は一体どんな作品になるんでしょう?
時間をさかのぼると、まずはアトリエの機械で元になる木製のオブジェを制作します。
「木は温かみがあって生きてるんです。これを気の向くままに加工して作品を作るんです」
ああ、なるほど、こんな作品になるんですね。
これはケラ地方の雪景色をそのまま作品にした感じ。
でも私の目には、粉砂糖をかけたチョコレートに見えてしまいます・・・。
終わり。
<お知らせ>
「こちら肉球クラブ」さん、 クラウドファンディング開催中
(2月3日(金)午後11:00まで )
詳しくは下記の文字をクリック!
虐待を受けたり怪我や病気の野良猫達、捨てられた猫達を救いたい
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、制作していた彫刻の一つに手を入れようとして親指をなくしてしまった。いや、正確に言えば、親指を2グラムほどなくしてしまった」
VDM (Vie de merde)より
ケラ地方を訪ねて4 [プロヴァンス地方]
近くの公園の梅園が赤と白に色づき始めました。
太宰府天満宮から分けてもらったという飛梅の子孫は、1月の上旬にはいち早く花をつけていました。
枝垂れ梅はどうかなと気になって見てみると、赤い小さな花が開いているではありませんか!
とは言っても、全体にはまだ2〜3分咲きといったところ。
毎年開催される梅まつりは来週の土曜日からのはずですが、すでに仮設小屋やテントが設置してありました。
梅まつりが始まると人で混雑します。のんびり梅を観賞できるのも今のうち。
さて、ケラ地方シリーズの四回目は、フランスアルプスの風景とともに冬の自然を紹介しましょう。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2017年1月26日に放送)
冬、ケラ地方へと続く道はこのギル峡谷(Gorges du Guil)のみ。
終点まで車を走らせると、手つかずの自然が待っていました。険しい岩山に雪が積もっています。
ニコラさんがケラ地方にやってきたのは今から20年以上も前のこと。
以来、ここでずっと暮らしています。ニコラさんを虜にしたのはこの自然。
「こういう人里離れたところで暮らすということは、孤独を覚悟しなくてはなりません。でも、完全に孤独ではないんです。むしろ逆ですよ。こうして山を歩けば、様々な植物や生き物に出会うからです。そして自然の中で暮らすというのは自由を感じることでもあります」
谷間には小さな集落があります。その向こうには雪をかぶったアルプスの山々。
様々な植物や生き物と言っても、これだけの雪の積もった冬では出会うのはちょっと難しそうな・・・と思っていたら、その痕跡が見つかりました。それはキツネの足跡。
「ほら、これですよ。まだ新しいので昨晩ここを通って行ったのでしょう。2匹いたはずです。キツネは餌を探して何キロも移動するんです」
周りを見渡すと何もないと思っていた雪山に鳥や鹿の姿が見えてきました。
「冬は食料が乏しくなりますから、動物たちのためにこうして餌を置いているんです」とニコラさん。
確かに干し草が置いてあります。しかし、野生の動物は警戒してなかなかこちらにはやってきません。
この辺りは標高2,800〜3,000メートルの山の中。この地域独特の動物たちが暮らしています。
のろ鹿、ムフロン(ヒツジの一種)、シャモワ等々。
しかし、何と言っても注目はこの鳥、クロライチョウです。
なんだか随分おしゃれな鳥ですね。オスです。この地方のエンブレムのような存在です。
これだけ美しい鳥ですが、その姿は簡単には見ることができないそうです。
そんな自然公園の中には人間がスキーを楽しめるようにコースが作られています。
ただし、コース以外は自然保護のために進入禁止になっています。
「それぞれが自分たちの活動範囲を守って暮らしているんです」
野生の生き物やメレーズの森など、ケラの住人にとっては自然が一番の宝物かもしれません。
続く・・・。
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「今日、私が働いている日焼けサロンに、スキー用のゴーグルをつけたお客がやってきて言った。『会社の同僚たちに見せるためさ。あいつら羨ましがるぞ〜』」
VDM (Vie de merde)より
ケラ地方を訪ねて3 [プロヴァンス地方]
ケラ地方を訪ねるシリーズの三回目は、予告通り、ケラ地方のグルメを紹介します。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2017年1月25日に放送)
豊かな自然に恵まれたケラ地方。
メレーズの森が広がっています。
メレーズ(Mélèze)とはカラマツのこと。シリーズの一回目に登場した伝統家屋はこのメレーズで作られていました。
このメレーズ、材木として使われるだけではありません。
ジャン=ピエールさん、なんとメレーズから飲み物を作ってしまいました。
春に咲くメレーズの花からシロップを作るのです。
「こうして少しつぶしてから鼻を近づけると香りが漂ってきます。森の香りです」とジャン=ピエールさん。
25年も前から森で仕事をしているうちに、この伝統のシロップの作り方を編み出したそうです。
まず、花を一晩水につけて、翌日、一度温めてから濾し器で濾します。
こうしてできたジュースに1リットル当たり700グラムの砂糖を加えるとシロップが出来上がります。
ご覧の通り、すべて手作りです。
「水に漬け込んで花の香りやエキスが染み出してきた頃にレモンを加えると、さらに香りやエキスが溶け出してきます」
ここでは、シロップだけでなくリキュールやジャムも作っているそうです。
メレーズの花は地元ではよく知られていますが、ツーリストにはあまり知られていません。
お店で試飲するツーリストのカップル。ちょっと驚いた様子。
「香りがありますね。こんな飲み物があるなんて全く知りませんでした」と男性。
「すごく美味しいです」と女性。
こうなるとどんなお味なのか飲みたくなってきますねえ、森の香りのリキュール。
さて、もう一つのグルメは・・・ハイカーたちに人気のこの宿の厨房にあります。
作っているのは、ほうれん草とケラのブルーチーズのグラタン。
「チーズがソースとうまく溶け合うようによくかき混ぜます」とメラニーさん。
これもケラ地方の自然の恵みをそのまま使った伝統の料理です。
「宿の周りには野生のほうれん草が生えてるんです。形が似ているせいか、地元では “ロバの耳” と呼ばれてるんです」
とここまではケラ地方で普通に作られてきた伝統のグラタンですが、メラニーさんは一工夫加えます。
そば粉のクレープをグラタン皿に敷き、具とチーズをのせてオーブンで焼きます。
こうして出来上がったのがメラニー風ほうれん草とケラのブルーチーズグラタンです。
ああ〜、これは美味しそうですねえ。
「美味しいですよ。ほうれん草とブルーチーズ、それに生ハムを一緒に食べると皿に美味しいです」
これはなんとか自宅でも作ってみたくなります。
続く・・・。
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「今日、妹がとってもおいしそうなズッキーニのグラタンを作ってくれた。食べてみると・・・どうも妹は材料を間違えたようだ。結局のところ、ズッキーニのグラタンではなく、キュウリのグラタンだった」
VDM (Vie de merde)より
ケラ地方を訪ねて2 [プロヴァンス地方]
今年行われるフランス大統領選。左派の候補はブノワ・アモンに決まりました。ヴァルスは負けてしまいました。
右派の候補は昨年のうちにフランソワ・フィヨンに決定していました。
この感じだと、やっぱりフィヨンが大統領になってしまいそうな・・・と思っていたら、スキャンダル発覚!
フィヨンの奥さんが、してもいない仕事で報酬をもらっていたと大衆紙にすっぱ抜かれ、当局が捜査に乗り出しました。
この結末はどうなることやら。
どの候補も今ひとつパッとしない中、こんないざこざで票が割れて、最後に国民戦線に持ってかれるなんてことになったら目も当てられません。
それはさて置き、ケラ地方シリーズの二回目です。今回は農業に従事する若者たちを紹介します。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2017年1月23日に放送)
ケラ地方のとある村の朝です。夜に吹雪いたようで雪が降り積もっていました。
因みに番組の冒頭の地図は別のシリーズのもの。テレビ局の編集者が間違えたようです。
かなりの雪ですが、ケラは一年のうち300日が晴天と言われるほど天候に恵まれた地域だそうです。
「村では400世帯ほどが暮らしています。カラッとして恵まれた気候ですし、周りの景観がまた素晴らしいです」とクレールさん。
クレールさんはこの村の出身ではありません。今から4年前の27歳の時にここに移り住んできました。
雪の中でもロバは元気です。クレールさんからおやつをもらっていました。ロバ、かわいい〜。
クレールさんが飼育しているのはロバだけではありません。家畜小屋ではヤギが餌がもらえるのを待っていました。
「ヤギの飼育は夢にまで見ていた仕事なんです。今、それが実現できてとても満足しています」
冬の間はこうして室内で干し草を食べながら過ごしていますが、夏になったら山に放たれ天然の草を食べるんでしょうね。
一方、暗闇に覆われた雪山を走る一台の車。
運転しているのは、同じく農業を営む男性。夕方にはスキー場のゲレンデの整備をしています。
運転席のフランソワさん、なんと半袖!車内は暖房が効いているとは言え、半袖はちょっと寒そうな気がしますが・・・。
「この仕事は周りに誰もおらず私だけですから、ちょっと孤独を感じますね」
ゲレンデの整備が終わると作業着に着替えて、今度は牛たちの世話です。
フランソワさんは25歳。若いですねえ。
「うちには今、仔牛が4頭います。これから10年以上も世話をして育てていくんです。この仕事は本当に素晴らしいと思いますね」
餌を与えたら乳搾りです。山で育った牛の乳は滋養に富んでいるそうです。
「冬の寒さが牛乳を豊かにしてくれます。特にたんぱく質の多い、高品質の牛乳を生産してくれるんです」
山間の雪の覆われた小さな村の姿は美しい絵葉書になりそうです。
こちらはシャトー=ヴィル=ヴィエイユ(Château-Ville-Vieille)のチーズ製造所。
「ここは本当に小さな製造所なんです。全て手作りです。皆んなで力を合わせて美味しいチーズ作りを目指しています」とジュリーさん。
ここのスペシャリテがブルーチーズです。数は多くありませんが、昔からの方法で作られています。
どんなお味なんでしょう?
「なめらかで、柔らかくて、口当たりのいいブルーチーズです」
山の中の小さな村の農業と言えば、お年寄りばかりのところが多いのですが、若い人たちも頑張っているようです。
次回はこの地方の特産品を使った料理を紹介します。
続く・・・。
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「今日、親友の誕生日を祝うために吹雪の中、200キロの道のりを飛ばしてやってきた。それなのに親友は私に口も聞いてくれなくなった。何しろ、バースデーケーキの真ん中にのっていた花の形の飴細工を僕が食べてしまったからだ」
VDM (Vie de merde)より
ケラ地方を訪ねて1 [プロヴァンス地方]
「メイカメリカ グレイ ラゲイン!」と言っておきながら、全然、グレイトじゃない。
むしろ、小さくて、狭量で、ケチになっていくばかりじゃないですかねえ。
と、ぼやいていても仕方がないので、本日から五回のシリーズでフランス南東部、イタリアとの国境沿いにあるケラ山岳地帯を紹介します。
第一回目の今日は、この地方伝統の家屋を見学することにしましょう。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2017年1月24日に放送)
標高2,000メートルの山の中にある村サン=ヴェラン(Saint-Véran)。
欧州で最も高いところにある村です。人口は250人ほど。
この村で生まれたジョセフさんが、実際に自分が40年以上も住んでいる伝統の家屋を案内してくれます。
「この玄関の門は1772年頃に作られたものです」
この家は革命後(1789年)改築されましたが、基本的な作りは変わっていません。
「壁の厚みは50〜60センチあります」
頑丈に作られているようです。中は石で漆喰で覆われています。
「寒さから守るために窓は小さく、床は板張りです。あちらの奥には牛が並んでいました。どの家もこのような作りだったんです」
家族全員が共同で使う大部屋が一つあり、そこには牛や鶏などの家畜も一緒に暮らしていました。
「今と比べると昔の生活はちょっと貧しかったかもしれませんが、村人たちは皆仲が良くて団結していました」とジョゼフさん。
お得意のアコーデオンを演奏してくれました。
村にはこの伝統の家屋が数多く残されています。
どの家も二階に木造のテラスがあります。二階は倉庫になっていて、ここで干し草を作っていたそうです。
テラスの下には素敵な日時計が設置されています。
この日時計も村の名物の一つです。この日時計に魅了された村人があちこち案内してくれました。
日時計はどの伝統家屋にも設置されているそうです。
太陽の光で時間がわかるということは、昔からずっと日当たりが良かったということなのでしょう。
「時間を知るために必要だったとうこともありますが、こうして日時計を備えることで豊かさを表現したかったのだと思います」と女性。
ある日時計にはこんなことが書かれてあります。
「太陽がなかったら私など何の価値もない。そして君は、神様なしでは何もできない」
この日時計、イタリアから職人を呼んで壁に描いてもらっていたそうです。
一方、サン=ヴェランから北西へ15キロほど行ったところにあるアルヴュー村(Arvieux)には、天井がアーチ型になった伝統家屋があります。
しかも美しい絵が描かれています。
「このフレスコ画は18世紀頃のものです。ここは村で唯一フレスコ画が描かれて家です」
こちらはかつて農場だった建物です。ここで牛が飼育されていました。
中はやっぱりアーチ型の天井になっています。しかも石を削ったノミの跡が残されています。
「アーチ型の天井は1500年〜1600年頃に初めて登場しました。大きな建物を作るときにはこの方法が適していたんです」と男性。
山の中の小さな村には秘められたお宝がたくさん隠れていました。
続く・・・。
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詳しくは下記の文字をクリック!
虐待を受けたり怪我や病気の野良猫達、捨てられた猫達を救いたい
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、家の大掃除をすることにした。掃除しやすいように椅子をテーブルの上に上げて、その他の細々した調度品を物置の前にまとめておいた。いざ掃除という時になって、掃除道具が物置の中にあるのを思い出した」
VDM (Vie de merde)より
ローカル線の小さな旅2 その5 [プロヴァンス地方]
シリーズの最後は、プロヴァンス地方を走るSLを紹介します。
地中海の都市ニース(下記地図の青印)と内陸の都市ディーヌ=レ=バン(Dignes-les-Bains)(赤印)を結ぶ列車が “松ぼっくりトレイン(Train des Pignes)” です。
そしてその間の20キロほどを蒸気機関車が走っています。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2016年8月5日に放送)
こちらがその蒸気機関車。
93歳という高齢にもかかわらず、しっかりとした足取りで駅に入ってきました。
しかし、あまり重労働はできません。夏の間の週末だけ、松ぼっくりトレインの、ピュジェ=テニエ(Pujet-Théniers)(緑印)とアノ(Annot)(オレンジ印)間の20キロを走ってくれます。
出発前に燃料の石炭を積み込みます。
「石炭の量は1トンほどです。これで20キロほどを上ったり下ったりしながら走ります」と男性。
心なしが顔が石炭で少し黒ずんでいます。お仕事大変ですね。
そして、お客様を乗せる前に点検とお掃除が欠かせません。この方々、鉄道好きのボランティアの皆さんです。
「貨物車と客車の両方がありますが、先にできたのが客車でした。これは1911年製で、生まれはスイスです」
100年以上も前の車両とは思えないほどきれいです。修復と維持には大変な費用と労力がかかったに違いありません。
14歳のマチュー君は夏休みの大半をこの作業に費やするそうです。
「冬休みはこの列車の修理を手伝います。夏になってお客さんに僕たちを努力の跡を見てもらえると嬉しいです」
その車両は乗客で満員です。毎年10,000人以上を乗せてプロヴァンスの山道を走ります。時速は40キロほど。
「特色のある列車ですね。20世紀初頭の雰囲気を味わえますよ」と女性。
「僕と同じようにこの列車も高齢ですが、この走りは若々しいですね。乗り心地はいいですよ。煙や臭いがありますが、それはそれでいい経験になります」と男性。
機関車の中はどうなっているかと言えば・・・大忙しです。
定期的に石炭をくべなくてはなりませんし、運転もハンドルを握っていれば大丈夫というわけにはいきません。
「80トンほどの重さがありますから、発車の時がちょっと大変です。早め早めに対応しなくてはなりません」と運転手。
ヴァール川に沿って走る蒸気機関車。
途中にある村アントルヴォー(Entrevaux)(紫印)に途中下車して散策です。
立派な門構え。昔はきっと繁栄した村なのでしょう。
「路地や階段状に並ぶ家々が素敵です」と女性。
「ちょっとした心温まる発見がありますよ」と男性。
村の広場には暑さを癒してくれる水場もあります。そしてお食事もできるお店も。
「人でごった返すコートダジュールより静かでのんびりできていいですね」と男性。
そんな村々をつなぐ蒸気機関車は10月頃まで走ることになっているそうです。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、シャワーにかかっていたら、何も見えなくなるくらい風呂場が湯気でいっぱいになったので、天窓を開けた。その瞬間、大きな雪の塊が裸の僕の上に落ちてきた」
VDM (Vie de merde)より
プロヴァンスのゴッホ展 [プロヴァンス地方]
東京もついに梅雨入りしました。10日間天気予報を見るとパッとしない天気が続くようですが、晴れ間もあるようです。
週末のフランスのニュースはほとんどが洪水の話題でした。
現地時間土曜日の午後8時頃のパリのセーヌ川はこんな感じ→こちら。
アレクサンドル3世橋のあたりの映像ですが、遊歩道になっているあたりは完全に水没してます。
そういえば、アレクサンドル3世橋の下には飲食店Faustがありましたね。あそこはどうなっているんでしょう???無事だといいのですが・・・。
何れにしてもセーヌ川の水位は高止まりしたようなのでこれ以上水位が上がることはなさそうです。
さて、本日は洪水には見舞われなかったプロヴァンスの都市アルル(Arles)からの話題です。
今から130年ほどの前、アルルにやってきた画家と言えば・・・ゴッホ。
現在アルルではゴッホの作品31点を展示する「プロヴァンズのゴッホ展」が開催されています。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2016年5月21日に放送)(▸をクリックしても映像が出て来ない場合はウィンドウの下の文字をクリック)
1888年2月20日、ゴッホは城壁に囲まれた町アルルにやってきました。
南仏の明るい日差しに溢れた町。それがゴッホの描いた絵にも表れています。
「ゴッホは15か月アルルに滞在しました。そして200点ほどの作品を描きました」とゴッホ財団の学芸主任の方。
今回の展示作品はオランダの美術館から貸し出されたもの。
31点のうち29点が初めてアルルで展示されています。
作品一つ一つを見ていくと、描き方の変化がよくわかるそうです。
初期は薄暗い作品が多かったのに対し、プロヴァンスに来てからは明らかに色彩に溢れた作品が多くなります。
「ゴッホはアルルに来て、長い間探し求めていた青い空と鮮やかな色を発見したのです。そのおかげで近代の偉大な画家になったのです」と専門家。
アルル滞在から2年後にゴッホが亡くなってしまうことを思うと、プロヴァンスが短期間にどれだけ大きな影響を及ぼしたかがよくわかります。
展覧会は、Fondation Vincent Van Gogh(35ter rue du Dr Fanton, Arles)で、今年の9月11日まで、開催されています。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、うちの5歳になる娘はせっかくのブロンドの髪を、パパと同じ色にすると言って、真っ黒のフエルトペンで塗ってしまった」
VDM (Vie de merde)より
果物のコンフィ [プロヴァンス地方]
この時期、クリスマスプレゼントの準備で忙しい方も多いかもしれません。
フランスでは年末の必需品をスペインで入手する人が結構いるそうです。
というのも、同じ品物でもスペインの方が安いとか。例えば香水なんかは20〜25%も安いそうです。
メイド・イン・フランスにこだわりながらも、背に腹は変えられないということでしょうか?
さて、年末のご馳走としてフランスのメディアが必ず取り上げるのが、フォワグラ、帆立、牡蠣。
日本だったら、数の子に伊勢海老に蟹というところでしょうか。
そして甘いものも欠かせません。そこで登場するのが、果物のコンフィ。
プロヴァンス地方のサン=レミ=ドゥ=プロヴァンス(Saint-Rémy-de-Provence)の古いお菓子屋さんの一つを訪ねてみました。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局France 3で2015年12月11日に放送)(映像が出て来ない場合は、ウィンドウの下の文字をクリック)
映像が途切れ途切れになってしまう皆さん。どうも映像の読み込みと再生の速度がうまく噛み合ないのが問題のようです。解決策として、本編が始まったところで一旦ポーズボタンをクリックし再生を止め、映像を読み込むまでしばらく待ちます。ある程度映像を読み込んだところで、もう一度再生ボタンをクリックすると途切れずに見ることができるようになります。少し手間ですが試していただけると幸いです。
Patrimoine : à la découverte des fruits confits et des calissons de Saint-Rémy-de-Provence
ここはサン=レミ=ドゥ=プロヴァンスの青空市。南仏の美味しそうな果物がたくさん並んでいます。
この果物を使って甘いお菓子が出来上がります。鮮やかな色合いもその特徴です。
ここのお店では1世紀以上も前から果物のコンフィを作っています。
115年前にリラマンド家がサン=レミにお店を出したのその始まりでした。
そして現代は4代目が後を継いでいます。
「この仕事がとても好きなんです。もぎたての果物を使ってお砂糖で煮て、出来上がったものが食卓にのると思うと幸せなんです。果物のコンフィはお祝いに相応しいお菓子です」と4代目。
新鮮な果物は、まずこうして湯がきます。
次に沸騰した砂糖水で煮込みます。砂糖水がドロドロになったところで果物を引き上げます。
これを何度も繰り返すと砂糖が果物の中までしみ込むそうです。果物の色合いもより鮮やかになるような感じがします。
そして最後の仕上げがグラサージュと呼ばれる作業。
シロップの中にいま一度浸して固めます。こうするとツヤも出るようです。
このお菓子やさんでは毎年50トンもの果物のコンフィを作るそうです。
その中には、メロンのコンフィもあるそうです。
さくらんぼやオレンジはよく見かけますがメロンは珍しいですね。このお店のスペシャリテだそうです。
そしてもう一つ、忘れてはならないスペシャリテがあります。
南仏のお菓子、カリソン。
アーモンド・パウダーに果物のコンフィを砕いたものを混ぜた生地を型に入れ、その上からグラス・ロワイヤルという砂糖と卵白で作ったクリーム(時間を置くと固まる)でコーティングしたお菓子です。
一度食べたことがありますが、南仏を感じさせる独特の香りがあります。
果物のコンフィもカリソンもクリスマスに相応しいお菓子ですね。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、体重を気にする僕の彼女は、砂糖なしのアイスティーじゃなきゃ絶対飲まないと言い張ったくせに、夕方には板チョコを2枚も平らげた。どうなってんだ???」
VDM (Vie de merde)より
オート=プロヴァンスを巡る旅 5 [プロヴァンス地方]
シリーズの最後は、湖畔の村のゆったり流れる時間をお楽しみください。
下記ウィンドウの▸をクリックして番組をご覧下さい。(フランスのTV局TF1で2015年7月31日に放送)
映像が途切れ途切れになってしまう皆さん。どうも映像の読み込みと再生の速度がうまく噛み合ないのが問題のようです。解決策として、本編が始まったところで一旦ポーズボタンをクリックし再生を止め、映像を読み込むまでしばらく待ちます。ある程度映像を読み込んだところで、もう一度再生ボタンをクリックすると途切れずに見ることができるようになります。少し手間ですが試していただけると幸いです。
人口300人あまりの小さな村ボデュアン(Bauduen)は、サント=クロワ湖の湖畔にあります。
湖は、電力会社がダムを作った時にできた人工湖。
当初の計画ではボデュアン村は湖の底に沈むことになっていました。
しかし、変更によりこうして地上に残ることになりました。
湖に釣り糸を垂らしているのがポールさん、85歳。
25年前にアルザス地方からここに引っ越してきました。
「湖にはパイク、パーチ、コイ、ローチなどがいますよ」とポールさん。
子供達も魚釣りに一生懸命です。
そして、この湖で静かにバカンスを楽しむ人々もいます。
「ここなら深呼吸をして美味しい空気がいっぱい吸えますよ」とポールさん。
一方、昼下がりの村の広場。村人が集まってペタンクを楽しんでいました。
木陰のできた広場はゲームをするのに最適です。すぐそばにはカフェもあります。
ペタンクと言い、オレンジ色の屋根と言い、典型的なプロヴァンスの風景です。
「冬は暖かく、夏は涼しい、この村はプロヴァンスそのものですよ」と男性。
油絵のような古い石造りの家々。
湖からのそよ風を受けながら、カードゲームにいそしむ高齢者の皆様方。
村の生活を心から楽しんでいらっしゃるようです。
1970年代には、この小さな村が湖の中に沈んでしまうのか、しまわないのかで大変だったことでしょう。
こうして残ることになって本当によかったですね。
湖の上を静かに走るヨット。
「緑に囲まれ、美しい風景を見ながらこうしているとほっとしますよ」と男性。
そして、ここで暮らすためにブルターニュ地方からわざわざやってきた女性もいます。
ここにはこんな風景もあったのですね。ちょっとアマゾン風。
ボデュアンは、岩山と湖に囲まれた穏やかな小さな村でした。
******** フランス人のつぶやき *******
「今日、夏休みが始まって以来、子供たちの水泳クラブの先生として働いている。水泳クラブの名前は“イルカ・クラブ”。休暇を過ごしにやってきたバカンス客がプールにやってきて真面目な顔で言った。『あの、イルカはどこにいるのですか?』」
VDM (Vie de merde)より